食文化

旬を味わう 〜いかにんじん編~ 福島で教わった、100年フード 時間がおいしくする一品

先日、福島県の飯坂温泉というところへ泊りました。

旅先の夕食で出会った一皿

夕食にはお品書きがついており、
食べ進めながら料理名とお料理を確認していくと
いかにんじん
とありました。


見た目は松前漬けのようでした。

いかにんじん?松前漬け?何が違うのだろうとふと思いました。

いかにんじんとは?福島の冬の郷土料理

いかにんじんを調べてみると100年以上前から食べられてきた
いわば福島のソウルフードのようでした。

元々は冬場に取れる野菜が少ない中で
お正月料理などに食されていたものが
年間を通して食べられるようになり今に至っているようです。

松前漬けには昆布が入り、
いかにんじんには昆布が入らないという差がある、とはいうものの
互いに関係があると考えられていて松前漬けの元だとか逆に松前漬けから来た等諸説あるようです。

道の駅でもらったレシピ あたりめで作ってみたら

翌日「道の駅 ふくしま」へ立ち寄りおみやげを見てまわりました。
するとおみやげ物の一角に「いかにんじん」の動画を発見!
にんじん、きりいかも売っていました。

道の駅「ふくしま」にて。いかもにんじんも販売しています。

前夜に食べた“いかにんじん”、がよみがえりました。

前日、夕食後に調べて
これがこの土地の冬をささえた料理だったんだろうと、
翌朝、雪景色になった周りの景色から想像しました。

一晩で雪景色になっていました。飯坂ICすぐの道の駅「ふくしま」。


なんとなく心がひかれました。
この時、きりいか、買えばよかったなとあとで思うことになります。

帰宅してから作ってみたくなり、
するめだけ買いに出かけると
スーパーではどこに売っているかを探す始末…。
ようやく見つけたのは珍味のコーナー。
そして大きな1枚のするめしか売っていません。
「これを刻んでにんじんもこれに見合う量入れたら量が多すぎる…」

たった30g、でもたっぷりのにんじんはかなりいい感じに。

と、
そこに少量でお酒のつまみとして売っている
あたりめ(するめ)”を見つけ、こちらを購入しました。

試しに作りたい…という量です。

“あたりめ”で作る“いかにんじん”

1日後のいかにんじん。旅の余韻を楽しめます。

(材料)
にんじん 1本(160g)
つまみのあたりめ(30g)
切り昆布(あたりめの半分くらいのかさ)※
(A)
・しょうゆ  20ml
・酒     20ml
・みりん   大2

(作り方)
①Aを小鍋に入れ火にかけ沸騰したら弱火にして1分したら火を止め冷ます。
②あたりめは袋から出してキッチンバサミでさらに細く切る。にんじんは洗って皮をむき長さ5~6㎝に切る。

にんじんはじめは2/3本でしたが塩が強いので結局1本すべてを刻んであたりめは割合がかなり少なくなりました。


③保存袋に①と②を入れて軽くもみ全体をなじませる。冷蔵庫で半日~一晩置いて出来上がり。

※切り昆布はなくてもできます。道の駅で見たレシピに「昆布」とあったので家にあった切り昆布を使いました。(こうなると松前漬けなのかなとも思いますが。)

時間がつくる味、翌日が本番

半日置く、とか一晩置く…
今の我々の日常ではなかなか待てないだろうと思います。
でもこれは必要な時間です。

冬はそういう常備菜や保存食が多い印象です。
冬場の白菜や大根、野沢菜などの漬物はその場ですぐ食べられるというより
長い冬を乗り越えるための食材として貯蔵・保存が重要だったでしょう。

一方でその保存には塩が使われ、それがかつての塩分の摂取量の多さへと反映していました。
今はそこまでではないので、
あくまでも色々な“ごはんのおとも”の一つ

100年以上にわたり愛されてきた一つの料理としていただけばいいと思います。

「にんじん嫌い」でも食べられる?各家庭のアレンジもありそう

帰宅してから、ある知人といかにんじんの話題になりました。
その人はにんじんが苦手らしいのですが
“いかにんじん”だけはいくらでも食べられると言っていました。

にんじんの癖がしょうゆやみりんで目立たなくなっているのでしょうか。
すりごまをかけるアレンジもいいでしょうし、
少量のごま油を垂らすとにんじんに含まれる脂溶性ビタミンβカロテンの吸収が上がるかなと。
そうそう、炊き込みご飯などに使うのもいいみたいです。
長きにわたり地域に根差しているメニューですからきっと各家庭の“流儀”があることでしょう。

常備菜という知恵

私の年代が育ってきた間も、便利な電化製品が増え家事労働は軽減化されました。
炊飯器、洗濯機、電子レンジ、全自動洗濯機…
でも家事労働はそこまで減ったかと言えばどうでしょう。

今なら“作り置き”という言葉になるかと思いますが昔から“常備菜”という言葉は存在しました。
常備菜の方が毎日同じものが出てくるイメージがあります。
昔はそうでした。

今のように毎日毎日違う料理を出すのが当たりまえ、という空気は疲れますね。
数日出せる常備菜を毎日の食卓にひとつおけば少し気分が楽かな、などと思います・・・

(参考)農林水産省HP 「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」福島県「いかにんじん」

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月野和美砂

月野和美砂

季節の手仕事で整える 食文化ナビゲーター

公認スポーツ栄養士・管理栄養士。元教員。八ヶ岳と行き来しつつ、神奈川県を中心にスポーツ栄養セミナー、子育て期の保護者向け講習会をリアル・オンラインで行う。鍼灸柔整専門学校で栄養学も担当し身近な話でわかりやすい!と好評。時短や簡便な料理が全盛な世の中でも、季節の手仕事や各地の郷土料理など“つくる楽しさを味わう”ことを大切にしたいと考えている。食を通してからだもこころも「整える暮らし」を提案する。

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