桜開花予報のニュースを耳にするようになり、春の花粉症シーズンが到来しました。みなさん、今年の症状はいかがですか。どのような対策をされていますか。
「更年期に入って、症状が変化している気がする・・・」
そのような気づきがある方、感覚は間違っていません。
更年期に入った女性の中には、花粉症の症状が強く出るようになる方、今まで花粉症と縁のなかった方が発症するケースが見受けらえます。なぜなのでしょうか。原因と症状緩和のポイントを確認していきましょう。
〇女性ホルモン低下
女性ホルモンが低下することで粘液の潤いを保持する機能が弱まるため粘膜が敏感になり、
閉経が近づくと副鼻腔 症状が強くなるともいわれています。また、自律神経の調整も関わっているホルモンでもあり、花粉飛散量が少なくても症状が強く出やすくなります。
〇免疫機能の低下
更年期は免疫機能が低下しやすく、アレルギー症状が出現しやすくなります。
〇加齢に伴う水分量の低下
加齢と共に皮膚の水分量が低下し、粘膜が乾燥しやすくなり、花粉(アレルゲン)が入りやすくなります。
〇ストレスの引き金が増加しやすい
更年期女性は、ライフステージの大きな変化に遭遇します。職場における管理職としての仕事の増加や重圧、子供 の進学、親の介護や相続、実家の片づけ等大きな決断を迫られる機会も多く、心身の負担も大きくなりがちです。ストレスが増加することで自律神経のバランスがアンバランスとなり、さらに睡眠不足になりやすい生活も加わりアレルギー症状も悪化しやすくなります。
以上のように更年期に入って花粉症症状の変化を感じることは、更年期による調節の変化だけでなく、加齢やライフステージの私生活の変化なども関係していると考えられています。

では、症状緩和のためにどのような対策があるでしょうか。
≪症状緩和ポイント≫
① 粘膜ケア
朝は、モーニングアタック※1により鼻づまりやくしゃみ、鼻水などの症状が強く出やすい方もいます。その際の対策は、下記の3点。
- 起床後のコップ1杯の白湯
- 心地よい温度の蒸しタオルを鼻・目の周りに約1分程度のせる
- 鼻の周囲に薄いワセリン
内臓を温め、血流をよくさせることで症状緩和の底上げを行います。
※1 モーニングアタック:朝起きたときに、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが急に強く出ること。要因として、(1)夜寝ている間に布団や部屋のほこり、花粉、ダニなどが鼻の中に入り、朝起床後に反応するため(2)起床後に神経のバランスが活動モードに切り替わるため、粘膜が敏感(3)暖かい布団の中から出た際に冷たい空気に触れ、温度差によるためなどの要因があります。

② ヒスタミン分泌を促進させない工夫
ヒスタミン分泌が過剰に起こるとアレルギー反応が誘発されます。ヒスタミンを過剰に分泌させないために、花粉飛散量が多い時期は一工夫しましょう。
・アルコールの多飲を控える。(適量を心がけましょう)
・アルコールを飲む際は、食事と一緒に心がける。(空腹時の飲酒は控える)
・トマトは、ヒスタミンを分泌させやすくする食品の1つです。トマトアレルギーではない方でも、花粉症症状が気にかかる場合、連日トマトソース料理を食べることやトマトジュースを飲むことは控えておくことをお勧めします。
・ヒスタミンの分泌を抑えやすくする、ビタミンCの多いブロッコリー、パプリカ、じゃがいも、ケール、いちごなども積極的に摂るように心がけましょう。

③ アレルギー炎症の緩和に導く栄養素を意識する
近年では、花粉症は薬の投薬が標準治療とされてきましたが、症状緩和に食事や腸内細菌叢のバランスも重要であると多数の研究報告が発表されるようになりました。
・ビタミンA(にんじん、モロヘイヤ、かぼちゃ、ギンダラ等)
・ビタミンD (サケ、イワシ、干ししいたけ等)
・ビタミンE(イクラ、タラコ、ひまわりの種、緑黄色野菜、ほうれん草等)
・亜鉛(カキ、タラコ、牛肉、ココア等)
・鉄(牛肉、高野豆腐、あさり、ひじき、小松菜等)
・セレン(カツオ、ブリ、タラコ、レバー、ひまわりの種等)
・食物繊維(スイートコーン、竹の子、さつま芋、昆布等)
などがアレルギー予防や症状緩和に重要とされている栄養素です。日頃の食事に意識して摂取するように心がけましょう。
④ カフェインの摂りすぎに気を付ける
・カフェインの摂取によって、アレルギー症状が強く出る方もいます。カフェインの感受性には個人差があり、それぞれの体調に合わせて摂取量を調整しましょう。1日の目安として、コーヒーは1日3~4杯までが妥当な量とされています。
・アレルギー症状が強い時には摂取量をいつもより控える工夫も大切です。
・夕方以降の摂取を控える。(睡眠の質の向上)
・カフェインを控えたい時には、カフェインレスコーヒー、麦茶、ルイボスティー、ハーブティー、玄米茶(カフェイン量少ない)などに置き換えてみましょう

2026年版 花粉症対策ガイド:薬に頼らずラクに過ごすための「食事と生活習慣」においても、花粉症対策(食事と生活習慣)をわかりやすくまとめていますので、併せて是非ご一読ください。
小さな工夫の積み重ねによってご自身が望む身体に一歩一歩近づいていきます。花粉症対策の食事や生活習慣は、更年期を軽やかに乗り切る対策にも関連しています。それぞれのコラムのポイントをもう一度確認して、より軽やかな春を共に過ごしていきましょう。
なお、アレルギー症状は個人差が大きい疾患の1つです。閉経後は体の変化の影響で、花粉症の症状の出方も一人一人異なります。エストロゲンの量(閉経が遅い等)によって症状の差が出るという報告もあります。ご自身の体調に合わせた対策を心がけましょう。

【参考文献】
・Hamisha Salih , Olivia Hum, et al: Poster presentationsBG05 Menopause and the skin: prevalence of skin symptoms in patients attending a menopause clinic. BJD. vol191. Issue Supplement_1, Page i120, 2024
・Snehitha Talugula , Margaret A Chervinko, et al: The Relationship of Estrogen Changes With Sinonasal Symptoms and Disease in Women: A Scoping Review. Laryngoscope. 135(9):3036-3048,2025
・Ping Zhang:The Role of Diet and Nutrition in Allergic Diseases. Nutrients. 15(17):3683,2023