大晦日は年越しそば。
年越しそばには、「細く長く生きられるように」「切れやすいそばに、一年の厄を断ち切る意味を込めて」などの由来があります。
先日、初めてそば打ちを体験しました。
粉からそばになるまでの工程に触れ、この年末の一杯が、これまでとは少し違って見えるようになりました。

粉がそばになるまでの工程
打ったのは二八そば。そば粉が8割、小麦粉が2割という配合で、香りと喉ごしのバランスがよく、家庭でも比較的打ちやすいとされるそばです。
3人で作業をしたのですが、最初に用意されたそば粉と小麦粉の塊を見たとき、正直こう思いました。
え?これで3人分?絶対足りないだろ。


ところが、“そば名人”の指導の下、水を入れてこね、まとめ、伸ばしていくうちに、粉はしだいに面積を広げ、最終的にはちゃんと3人分のそばになっていったのです。
粉が形を変え、「食べられるもの」になっていく過程は面白く、静かな感動がありました。


丁寧さをごまかせない作業
そば打ちは、想像以上に集中力がいる作業でした。
・力を入れすぎると、生地が切れる。
・均等に伸ばさないと、太さにムラが出る。
・包丁を雑に入れると、一気に太いそばになる。
どの工程も、「まあいいか」が通用しません。丁寧に向き合った分だけ、結果がはっきり形になって現れます。
なぜ、そば打ちを続ける人がいるのか
年を重ねると、「そば打ちが趣味」という人がいます。男性が多いのではないでしょうか。
実際に体験してみると、なかなか手間のかかる趣味だと感じました。時間もかかるし、道具や場所、材料も必要です。
それでも、
・無心になれる
・余計なことを考えなくてすむ
・誰かのために作れる
という要素がそろっているからでしょう。
効率やスピードが求められる日常とは、真逆の世界。何かに集中することで脳がすっきりしますし、完成したそばを「おいしい」と食べてもらえることが、何よりの喜びになるのではないかと、少しわかったような気がしました。
手間がかかっても、素材から食材を作り上げる。そんな時間を楽しめるのが、大人のたしなみかと思いました。

年末に食べるそばの意味を、作る側から考える
こうした体験を経て、今年の年越しそばに選んだ銘柄は「千葉在来十割そば」です。
「まぼろしのそば」
「無塩・無添加」
という言葉も印象的でしたが、百年以上前から千葉の土地で受け継がれてきたそばの固有種「千葉在来」と知り、一度味わってみたいと思いました。

そば粉100%の十割そばは、二八そばとは異なり、そば本来の香りと風味をより強く感じられるのが特徴です。
その分、扱いには少し気を遣うそばでもあります。
家でそばをゆでるという行為
十割そばはつなぎがない分、ゆで方次第で食感が大きく変わります。
① たっぷりのお湯をしっかり沸騰させる
鍋は大きめ、お湯は多め。ぐらぐらと勢いよく沸いた状態で入れます。
② そばを入れた直後だけ、やさしくほぐす
入れた直後にくっつきやすいので、箸で軽く泳がせるように。混ぜすぎないのもポイントです。
③ ゆで時間は短めに
表示時間を目安に、早めに様子を見るのがおすすめ。ゆですぎると、切れやすくなってしまいます。
④ ゆで上がったら、すばやく冷水で締める
ぬめりを落としながら、しっかり冷やすことでコシが生まれます。
⑤ 水を切りすぎない
ぎゅっと絞らず、自然に水を切るくらいが、風味を残すコツです。
ゆで方ひとつで、味わいも大きく変わります。
今年の大みそかは、そば打ち体験で感じた丁寧さ、繊細さをもって、年越しそばを作りたいと思います。
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