スーパーの野菜売り場で見かける「ブロッコリースプラウト」。ひょろひょろ、もしゃもしゃとした見た目の発芽野菜ですが、今、この小さな芽が、「長寿のカギ」を握る成分が含まれているとして、医学・科学の両分野から熱い注目を浴びています。
このたび、発芽野菜の国内シェアNO.1の村上農園と東北大学が、ブロッコリースプラウトに含まれる「超硫黄分子(ちょういおうぶんし)」について、食品分野での可能性を探る共同研究プロジェクトを開始すると発表しました。
圧倒的な解毒力と抗酸化力、スルフォラファン
ブロッコリースプラウトは、ブロッコリーの種子を発芽させた直後の新芽(スプラウト)です。代表的な栄養素として「スルフォラファン」がよく知られています。
スルフォラファンは、圧倒的な「解毒力」と「抗酸化力」があるとされ、それを最も豊富に含むブロッコリースプラウトは、“スーパーフード”でもあるのです。

人間の体は、呼吸をするだけで「酸化(サビ)」が進み、それが老化や疾病の原因となります。同じく抗酸化力の強いビタミンCなどは、摂取した後数時間で体外へ排出されてしまいますが、スルフォラファンは一度摂取すると、約3日間もその効果が持続すると言われています。
毎日食べなくても、その効果が持続するというのです
特に、発芽3日目のブロッコリースプラウトには、成熟したブロッコリーの約20倍ものスルフォラファンが凝縮されているとされ、まさに「天然のサプリメント」と呼ぶにふさわしい食材です。
ブロッコリースプラウトの効果的な食べ方

そんなスルフォラファンの効果を最大にする、ブロッコリースプラウトの効果的な食べ方をまとめます。
よく噛む
口に入れたら30回は噛みましょう。スルフォラファンは植物内では前駆体として存在しており、細胞内にある「ミロシナーゼ」という酵素の働きによって、スルフォラファンに変化します。口の中でよくかんで細胞を破壊しないと、健康効果を十分に発揮できません。しっかり噛むことが「最大の調理法」なのです。
生のまま食べる
酵素であるミロシナーゼは熱に弱いため、加熱せず、サラダやトッピングとして活用するのが理想的です。
毎日少しずつ継続
効果は約3日間効果が続くといわれていますが、計算すると、1回の量は約20gとなります。ブロッコリースプラウトは軽いので、20gとなると、結構かさばる量になります。それを考えると、1度に大量に食べるよりも、毎食、毎日、おかずにトッピングする方が、無理なく続けられます。
生命の予備電源「超硫黄分子」、東北大との共同プロジェクト
最近、ブロッコリースプラウトに、スルフォラファンに続く新たな注目成分が豊富に含まれていることがわかってきました。それが「超硫黄分子」です。
超硫黄分子とは、アミノ酸と複数の硫黄原子が連なって結合した構造を持つ分子の総称。強い抗酸化力があり、疾病の予防や診断、治療など、医学・生命科学の新たな可能性を切り開く成分として期待されています。

しかし、ブロッコリースプラウトに含まれる超硫黄分子の種類や構造などについて、現在、解明されているのはごく一部でしかありません。そこで、新たな可能性の探究を進めるため、村上農園と東北大学の共同プロジェクトがスタートしたのです。
1月末に都内で行われた発表会見で、東北大学の赤池孝章国際卓越教授は「超硫黄分子の研究はこの10年ほどで急速に進んできた。細胞内でエネルギーを作るミトコンドリアの働きをサポートすることで、老化を抑制する可能性があることがわかってきた」と説明しました。
がん予防、認知症予防をはじめとする「長寿の切り札」や健康増進として活用できるのではないかと期待を込めて、研究を進めるとしています。
また、東北大学の井田智章特任教授によると、「スルフォラファンと超硫黄分子には相関関係があることもわかってきている」といいます。今回の共同研究では、その関連性を解明していくのも目的の1つです。
髪や爪、肌の健やかさを保つため不可欠な硫黄
さて、「硫黄が体内に存在する」ということにピンと来ていない人も多いと思います。実は硫黄は、人体を構成する元素の中で7番目に多く、髪や爪、肌の健やかさを保つために欠かせない物質です。
さらに興味深いことに、生命の進化の過程において硫黄は、酸素が乏しかった太古の地球で生物のエネルギー代謝を支えていた「予備電源」のような役割を担っていたことも分かってきました。
私たちは通常、酸素呼吸をしていますが、酸素が少ない環境においては「硫黄呼吸」をしており、その名残が、今も私たちの体に備わっているのです。

この「生命維持のバックアップ」ともいえる超硫黄分子が、ブロッコリースプラウトにはダントツに多く含まれ、玉ねぎの約4倍、成熟ブロッコリーの約7倍も含まれています。
村上農園の村上清貴社長は、「自分が現役である間に、超硫黄分子を多く含む新商品を開発したい」と、今後の研究の進展に期待を寄せていました。
風評被害からの逆転、村上農園の起死回生のドラマ
現在、ブロッコリースプラウトで国内トップシェアを誇る村上農園ですが、ここまでの歩みは平坦ではありませんでした。
1996年、大阪・堺市で発生したO-157集団食中毒事件。当時の厚生大臣が「カイワレ大根が原因の可能性」と言及したことにより(後に科学的根拠が乏しいことが判明)、同社の主力商品であったカイワレ大根は市場から姿を消しました。全くの無実でありながら凄まじい風評被害を受け、会社は存亡の機に立たされます。

しかし、このどん底の状況が起死回生のきっかけとなりました。「人々の健康に真に貢献できる、エビデンスに基づいた野菜を作らなければならない」という強い信念のもと、世界中を調査。そこで出会ったのが、米ジョンズ・ホプキンス大学で研究されていたブロッコリースプラウトだったのです。
同大学と独占ライセンス契約を締結し、成分を安定させる完全管理型の植物工場を建設。こうして誕生した「ブロッコリー スーパースプラウト」は、まさに絶体絶命のピンチから生まれた逆転の産物でした。
ブロッコリースプラウトはアスリートを支える健康食材に
ブロッコリースプラウトの優れた抗酸化力は、過酷なトレーニングで体が酸化しやすいトップアスリートたちの体調管理にも活用されています。Jリーグのサンフレッチェ広島や、今年の箱根駅伝で3大会連続の総合優勝(3連覇)を果たした青山学院大学陸上部へのサポートがその象徴です。
食生活で体を整えることは、自分自身の未来を整えることにも繋がります。超硫黄分子の研究が進み、健康長寿の成分のメカニズムが明らかになることを期待したいですね。
【参考情報】
村上農園 公式サイト https://www.murakamifarm.com/
東北大学 共同研究プロジェクト詳細 https://www.med.tohoku.ac.jp/6158/