生のこんにゃく芋からこんにゃくを作る体験は、これまでの私の「こんにゃく観」を、根底から変えるものでした。
低カロリーで健康にいい。
こんにゃくには、そんなイメージがあります。とはいえ、実はこれまで私の中では、こんにゃくは「あってもなくてもいい食材」 でした。
ところが、群馬県みなかみ町・たくみの里で体験したこんにゃく芋からのこんにゃく作りを通して、その存在感が急上昇!
「また食べたい」
「また作りたい」
なぜ、こんにゃくの世界観が大きく変わったのか、作り方・栄養・味の視点からお伝えします。
生芋とこんにゃく粉の違い|味・食感・風味はどう違う?
こんにゃくには、大きく分けて生芋タイプ と こんにゃく粉(精粉)タイプ の2種類があるのをご存じでしょうか。
生芋から作るこんにゃく
・こんにゃく芋そのものを使用
・芋本来の風味が強く、香りがしっかり
・繊維が残り、食感はやや粗めで噛みごたえがある
・季節や芋の状態によって仕上がりが変わる「自然の味」
こんにゃく粉(精粉)から作るこんにゃく
・こんにゃく芋を乾燥・粉末化したものが原料
・年中安定した品質で作れる
・食感はなめらかで均一
・大量生産に向いており、市販品の主流

生芋と粉で作る違いのポイントは、味わいの奥行き。
「手作りすると、食感も味もまったく違うんだよね」
そんな話を聞いてはいましたが、体験する前は「そんなに違いがあるの?」と半信半疑でした。
生のこんにゃく芋から作るこんにゃくづくり体験|作り方と工程
さて、こんにゃく作りです。
材料はとてもシンプル。こんにゃく芋・お湯・凝固剤(炭酸ナトリウム)だけです。
生芋を洗って皮をむく
まずは、土付きのこんにゃく芋をきれいに洗い、皮をむきます。群馬県は日本一のこんにゃく大国。ここで使われていたのは、群馬県を代表する品種「みやままさり」でした。
こんにゃく芋はサトイモ科で、多量のシュウ酸カルシウムが含まれています。生の状態で触ると皮膚が刺激され、かゆみが出ることがあるため、生の芋に直接触ることはできません。必ず、しっかりゆでてあく抜きを行わないといけないのですが、体験では、すでにゆでて下処理された芋を使用したので安心でした。

すりつぶし、炭酸ソーダと混ぜてペースト状に
ゆでた芋をミキサーに入れ、およそ3倍量のお湯を加えて撹拌します。


なめらかになったらボウルに移し、手でしっかり練っていきます。


ボウルに入ったこんにゃくに、お湯で溶かした炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム) を加え、素早く均一に混ぜていきます。ひんやり、もっちりとした感触が心地よく、思わず子どものころの粘土遊びを思い出しました。


好きな形を整えてゆでる
こんにゃくが固まり始めたら、好きな形や大きさに成形します。思うような形にならないのも、これまた楽しいところ。
続いて、成形したこんにゃくを大釜でゆでたら完成です。ゆでることで弾力が生まれ、同時にアクも抜けていきます。


こんにゃくの栄養と健康効果|低カロリーで腸に良い理由
こんにゃくは95%以上が水分。それでも健康食として知られる理由は、主成分「グルコマンナン(食物繊維)」にあります。グルコマンナンは水溶性食物繊維で、次のような働きが期待されています。
- 腸内環境を整える
- 便秘予防
- 血糖値の急上昇を抑える
- コレステロールの吸収を抑制
低カロリーで満腹感が高い
カロリーはほぼゼロ。それでいて噛みごたえがあるため、満腹中枢を刺激し、食べすぎ防止にもなります。
また、カルシウムなどのミネラルを含みます。特に生芋こんにゃくは、芋由来の成分が自然な形で残るため栄養価が高いのです。
生芋こんにゃくは皮がすごい|ポリフェノールと注目される理由
粉から作るこんにゃくよりも、芋から作るこんにゃくが栄養価が高いとされるのは、「皮」がポイント。こんにゃく芋の皮には、クロロゲン酸やカフェ酸などのポリフェノールが含まれています。
これらは抗酸化作用をもち、脳の酸化ストレスを軽減し、神経細胞のダメージを抑える可能性があるとして、研究が進められています。この皮は栄養価だけでなく、香り・色・風味もワンランクアップさせてくれるのです。
生芋こんにゃくはなぜおいしい?|味が染みる、食感が違う
正直に言います。
私にとってこんにゃくは、これまで「脇役」でしかありませんでした。しかし、この生芋こんにゃく作りを通して、その存在価値が一変しました。
・何もつけずに刺身で食べてもおいしい。
・煮物や鍋に入れると、驚くほど味が染みる。
・食感も、これまで知っていたこんにゃくとは別物。
滅茶苦茶おいしい。
生まれて初めて、「こんにゃくが好き」 と思えたのです。
手間がかかっても残ってきた理由|生芋こんにゃくと日本の食文化
しかし、生芋からこんにゃくを作るのは、相当な手間がかかります。粉からの製造が主流になっているのも理解できます。
それでも、昔の先人たちがこんにゃくを作ってきたのは、「おいしいから」でしょう。その単純な理由の中に、手間を楽しむ食文化の中に、日本の知恵と季節の豊かさが息づいている気がします。

今回の体験は、私にとって「脇役だった食材」だったこんにゃくを見直すきっかけになりました。
生芋からこんにゃくを作る体験ができる場所は、現在では限られているとのこと。日常使いはこれまで通りスーパーで購入しながらも、また日本古来の食材を自分の手で作ってみたいと思っています。
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