幼いころ、母のおせちづくりを手伝った最初の記憶が「きんとんの裏ごし」でした
包丁は危ないからと、台所ではハサミでするめを切ったり、簡単な作業ばかりだった私にとって、裏ごしは“本格的な仕事”のようで誇らしかったのです。
木製の裏ごし器に木べらをあて、どのくらいの量を乗せればスムーズに通るのか。
あのとき母は、忙しい年末であっても根気よく、ひとつひとつ教えてくれました。
今ならフードプロセッサーやハンドブレンダーで一瞬。
でも「手でつくるおせち」を知った原点の料理でもあります。
栗きんとんのいわれ
きんとんの黄金色は小判を表し、「金運」「繁栄」の願いが込められています。
栗を入れるのは“勝ち栗”とも呼ばれ、勝負運や成功を祈る意味です。
色を美しく仕上げるために使うクチナシには、邪気を払うといった言い伝えもあります。

■チャレンジおせち「栗きんとん」
副菜、調理時間50分、作りやすい分量
<材料>
サツマイモ…大1本(正味500g)
くちなしの実…1個
栗の甘露煮…15粒
栗の甘露煮シロップ…適宜
砂糖…40~60g
みりん…大さじ1
塩…少々
<作り方>
① ボウルに水をはり、サツマイモを3cmくらいの輪切りにし、皮を厚くむいて※水にさらす。
② くちなしの実の上に包丁の腹をのせ、上から手でつぶし、お茶用の紙パックに入れる。


③ 鍋にサツマイモを入れ、サツマイモがかぶるくらいの水、②のくちなしを入れ、火にかける。
④ ③が沸騰したら中火にして10~12分ゆで、竹串がすっと通るくらいになったら火を止めて湯を捨てる(くちなしの袋も出す)。
⑤ ④の鍋に砂糖半量☆とみりん、栗の甘露煮シロップを適宜(大さじ1~2)加え、すりこ木などでサツマイモをつぶしながら全体を混ぜる(☆半量…の意味:甘くなりすぎないよう、味をみながら砂糖やシロップを加えていく、ということ)。
追記:ここでハンドブレンダーを使えば⑥は必要ないかもしれません。
⑥ 万能こし器に⑤を入れ、しゃもじで裏ごす。
⑦ 最後に栗の甘露煮を混ぜる。
※皮を厚くむく…皮のすぐ下にあくが多いので色が悪くなりやすいためです。むいた皮ももちろん捨てずにきんぴらにしておかずにしましょう。
制作=管理栄養士・月野和美砂/Ⓒマイミータス
市販品も“ひと工夫”でほどよい甘さに
市販の栗きんとんはどうしても甘すぎることが多いですよね。
そんなときは、栗きんとんは小さめを買っておき
ゆでたさつまいもをつぶしてペーストにし、少量ずつ混ぜると甘さがやわらぎます。
(市販品にはすでに色もついていますからくちなしもなくて大丈夫。)
いわば“ハイブリッドきんとん”。
簡単に調整できるので、おすすめです
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