食事

“冬の疲れ”がピークに。冬の終盤に起こる隠れ栄養不足

2月になると、「なんとなく疲れが抜けない」「朝がつらい」「肌が荒れやすい」──そんな声が増えてきます。 寒さには慣れてきたはずなのに、むしろ体調が揺らぎやすくなる。これは決して気のせいではありません。

実は、2月は一年の中でも“冬の疲れ”がもっとも表に出やすい時期です。 気温や日照の変化に加えて、知らないうちに“栄養の偏り”が進んでいることもあります。

2月はなぜ“疲れのピーク”になるのか

① 寒さのピークでエネルギー消費が増える

2月は一年で最も気温が低い地域が多く、身体は体温を保つためにエネルギーを多く使います。 つまり、何もしていなくても栄養の消費量が増える季節です。

その結果、体内の栄養素がいつも以上に使われ、気づかないうちに不足しやすくなります。

② 日照不足でホルモンバランスが揺らぎやすい

冬は日照時間が短く、セロトニンという“気分や自律神経を整えるホルモン”が低下しやすい時期。 セロトニンが減ると、やる気が出にくくなったり、睡眠の質が落ちたり、食欲が乱れたりと、心身に影響が出やすくなります。

③ 胃腸の働きが弱り、吸収効率が落ちる

寒さで血管が縮むと、全身の血流が低下します。 実はこの“血流の低下”が、胃腸の働きに大きく関わっています。

胃や腸は、食べ物を消化し、栄養を吸収するためにたくさんの血液を必要とします。 血流がしっかり届いていることで、

  • 胃酸や消化酵素が分泌される
  • 胃腸がスムーズに動く
  • 吸収した栄養が全身へ運ばれる

といった働きが保たれます。

ところが、寒さで血流が落ちると、

  • 胃酸や酵素の分泌が減る
  • 胃腸の動きが鈍くなる
  • 栄養を運ぶスピードが落ちる

といった影響が出て、「食べているのに吸収できていない」状態が起こりやすくなります。

さらに、血流が悪いと鉄不足の症状(だるさ・疲れやすさ)が強く出ることも。 つまり、 「血流低下 → 胃腸の働き低下 → 栄養吸収の低下 → さらに疲れる」 という流れが、2月に起こりやすいのです。また、便秘や下痢、腸内環境の悪化にもつながります。

冬の終盤に不足しやすい栄養素

冬の終盤に不足しやすい栄養素には、いくつかの傾向があります。 ここでは、特に“冬疲れ”と関係の深い3つを紹介します。

① 鉄

体温維持のために代謝が上がる冬は、鉄の消費量も増えます。 血流が悪くなることで酸素運搬が滞り、鉄不足の症状が出やすくなることも。

鉄が不足すると、疲れやすさや集中力の低下、肌荒れなどが起こりやすくなります。

② ビタミンD

ビタミンDは日光を浴びることで体内で作られますが、冬は日照時間が短く、外に出る機会も減りがち。 そのため、冬の終盤はビタミンD不足が加速しやすい季節です。

不足すると、免疫力の低下や気分の落ち込みにつながることがあります。

③ たんぱく質

冬はエネルギー消費が増えるため、筋肉の分解が進みやすい時期。 年末年始の食生活の乱れも重なり、たんぱく質が不足している人は少なくありません。

たんぱく質が不足すると、疲れが取れにくくなったり、肌や髪のトラブルが増えたりします。

2月の“隠れ栄養不足”を防ぐ食材

ここからは、冬の終盤に積極的に取り入れたい食材を紹介します。 どれも日常に取り入れやすいものばかりです。

① 牡蠣(鉄・亜鉛)

鉄と亜鉛が豊富で、冬の疲れを立て直すのにぴったり。 蒸し牡蠣や味噌汁など、温かい料理にすると身体もほっとします。

② 鮭(ビタミンD・たんぱく質)

冬の鮭は脂がのって栄養価が高く、ビタミンDも豊富。 焼くだけで主菜になる手軽さも魅力です。その他に、ぶり、たらも冬が旬の魚です。

③ ほうれん草(鉄・葉酸)

冬のほうれん草は甘みが強く、栄養価も高い時期。 お浸しや味噌汁など、火を通すと量が食べやすくなります。

④ 卵(たんぱく質・ビタミン類)

朝食に卵を1つ加えるだけで、エネルギーの立ち上がりが変わります。 忙しい朝にも取り入れやすい食材です。

⑤ 海藻(ミネラル・食物繊維)

冬に不足しがちなミネラルと食物繊維を補える優秀食材。 常備しておくと、あと一品に便利です。

今日からできる“冬疲れ改善習慣”

食事に加えて、生活習慣の見直しも冬疲れの回復に役立ちます。

① 朝の光を浴びる

セロトニンの分泌を促し、体内時計が整いやすくなります。

② 温かい汁物を1日1回

胃腸の血流が改善し、栄養吸収が高まります。 具だくさんの味噌汁やスープは、手軽で続けやすい習慣です。

③ たんぱく質を毎食に

「主菜があるか」を目安にすると、自然とバランスが整います。

④ 早めの就寝を意識する

冬は睡眠の質が落ちやすい季節。 22〜24時の間に寝ると、疲労回復がスムーズになります。

まとめ

2月の不調は、決して“気のせい”ではありません。 冬の寒さや日照不足、生活リズムの乱れが重なり、身体の中では静かに栄養不足が進んでいます。

でも、食事と生活習慣を少し整えるだけで、身体は確実に回復していきます。 春に向けて、今のうちに“冬疲れ”をやさしくリセットしていきましょう。

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今井久美

今井久美

食事で未来を変える栄養プランナー

管理栄養士。長年にわたり、病院やクリニックでの栄養相談・保健指導に従事。糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病改善、予防のための減量など、個別の状態に寄り添った栄養指導を得意とする。また、栄養士・管理栄養士を養成する専門学校の教員として14年間勤務し、後進の育成にも尽力。「今よりもっと健康で美しく」をモットーに、食事を通じて心と体の両面から健康をサポートしている。

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