「頭蓋骨の骨密度低下」が、ほうれい線やたるみの原因
前回の記事「化粧品では防げない! ほうれい線・たるみの真犯人は「頭蓋骨」」では、40代から始まる「頭蓋骨の骨密度低下」が、ほうれい線やたるみといった顔の老化の大きな要因になると紹介しました。骨の萎縮が進むと、皮膚や脂肪を支える力が弱まり、フェイスラインや口元が下がって見えてしまいます。
そこで重要になるのが「顔の筋肉の維持」です。骨が多少痩せても、筋肉がしっかりしていれば顔を内側から支える力が残り、若々しい表情を保つことができるのです。
筋肉の維持に有効な「顔筋エクササイズ」
兵庫・姫路市のきみえ歯科の中村喜美恵院長は、「顔の筋肉を効率よく鍛えるには、日常的に取り入れられる『顔筋エクササイズ』が有効」と話します。
顔筋エクササイズとは、表情筋をはじめとする顔筋を鍛えて顔のたるみやシワの改善、リフトアップ効果などを目指すトレーニングです。今回はその中でも簡単にできる「舌回し」と「咬筋(こうきん)エクササイズ」のやり方を教えてもらいました。
エクササイズ1)舌回し(ベロ回し)
まずは、舌のトレーニング「ベロ回し」です。
舌は「噛む・飲み込む・話す」だけでなく、顔の筋肉やリンパの流れにも深く関わっています。舌を動かすだけで、なんと首から上の70種類の筋肉を刺激します。血流を促進し、咀嚼力向上、顔の引き締め、唾液分泌促進、免疫力アップにもつながる万能トレーニングです。

■やり方
1、舌を上唇と上の歯列の間に入れ、左端から上の歯と歯ぐきをなぞるように、ゆっくり右側へ動かす(5秒以上かけ移動させる)。
2、そのまま、舌を下唇と舌の歯列の間に移動させ、右端から左側へ同様に行う。
3、右回りで3周した後、左回りで3周行う。
4、これを1日3回程度行う。
(この時、舌の先で唇を押すようにすると更に効果的!)

上の写真のように、口を閉じて舌を矢印(←)の方向に動かします。写真では、舌の位置がわかりやすいように目も一緒に動かしています。
■ポイント
唇をしっかり閉じたまま行うこと(唇のトレーニングにもなる)。終わったあとに顎や舌が疲れるくらいが理想。疲れを感じた部分を手でマッサージ。
■効果
・ほうれい線予防
・フェイスラインの引き締め
・唾液分泌による口腔環境改善
・嚥下機能の維持・免疫力アップ
エクササイズ2)咬筋エクササイズ
頬の奥にある「咬筋(こうきん)」は、食いしばりや顎関節症だけでなく、肩こりや頭痛の原因にもなる筋肉です。ほぐすことで顔のこわばりが取れ、フェイスラインもスッキリします。

■やり方
1、歯と歯を離し、軽く口を開ける。
2、頬の奥の咬筋に、親指以外の指の腹をしっかり当てる(小指は外れても
OK)。
3、大きな円を描くようにゆっくり回す。
■ポイント
指先ではなく「指の腹全体」を皮膚に押し当て、摩擦を避けること。
■効果
・食いしばり改善
・顔の緊張をゆるめる
・頭痛や肩こり予防
・小顔・リフトアップ効果
まとめ 正しい姿勢とあわせて実践を
舌回しと咬筋エクササイズは、セットで行うことで効果が高まります。正しい姿勢とやり方で、やってみましょう。
・頭蓋骨の萎縮を防ぐには「筋肉の維持」が欠かせない
・顔筋エクササイズは血流を集め、内側から肌を押し上げる
・舌回しで「中から引き締め」、咬筋エクササイズで「こわばりをゆるめる」
・正しい姿勢で「老化を防ぐ土台を整える」
日常に落とし込み、「三日坊主」でも続けて
私たちの理想的な姿勢では、唇は軽く閉じ、歯と歯は1~3mm離れた「安静時空隙」のある、いわゆるリラックスした状態です。歯を噛みしめたり唇に力が入ったりすると、咬筋や首の筋肉が緊張し、たるみや肩こりの原因になります。
日頃、どうしても力が入りがちな私たち。1日に数回、顔筋エクササイズで、リラックスタイムをもちたいものです。
しかし、改めて「トレーニングをしよう」と自分に課すと、長続きしません。それよりも、例えば、歯を磨いた後、顔を洗った後など、日常の一連の流れの中にエクササイズを組み込んでしまうと続けやすくなります。
中村院長は「まずは三日坊主でもいいんです。やり忘れてしまった日があっても、また始めれば継続したことになるんですから、小さなことを続けていくことが大切です」と話します。
それならば、スタートは早い方がいいですよね。10年後の自分の顔を美しく保つためにも、今からできることを始めてみませんか。
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