「夕方になると甘いものが止まらない」「夜になると急にお腹が空く」「朝は食べる気がしない」
更年期に入ると、こうした“食欲の波”が以前より強くなると感じる女性が増えます。
実はこれ、意志の問題ではなく、ホルモンと自律神経のリズムが変化しているサインです。
食欲には明確な日内変動があり、さらに更年期のホルモン変化が重なることで、更年期女性の食欲は若い頃とは異なった動きを見せます。食欲の波を「朝・昼・夕方・夜」に分けて整理しながら、更年期女性の体で何が起きているのかを説明します。
朝:食欲が出ないのは“生理現象”
朝は、食欲ホルモンであるグレリンが最も低い時間帯。
一方で、満腹ホルモンのレプチンは高く、食欲が抑えられやすい状態です。
さらに、朝はストレスホルモンのコルチゾールが高いため、体は「活動モード」であり、消化よりも覚醒を優先します。
更年期女性では、
- 更年期でコルチゾールのリズムが乱れやすい
- 朝の低血糖感が出やすい
- だるさや倦怠感で食欲が湧きにくい
といった特徴が重なります。
朝食は“軽くてもいいから入れる”がおすすめです。
ヨーグルト+ナッツ、バナナ、味噌汁など、消化に負担の少ないものが向いています。
昼:代謝が最も安定し、食欲が整う時間帯
体温が上がり、代謝が安定するのが昼前後。
この時間帯は血糖値のコントロールもスムーズで、食欲のバランスが最も整いやすいタイミングです。
ただし更年期女性では、
- 昼食後の眠気
- 血糖値の乱高下
- 炭水化物中心のランチで午後のパフォーマンス低下
が起こりやすくなります。
昼は、
炭水化物に加え、たんぱく質+食物繊維を加えた“ランチスタイル”
が理想です。食後の眠気も起こりにくく、疲労感も感じにくくなります。
夕方:甘いもの欲が爆発する“魔の時間帯”
夕方になると、
- グレリン(食欲ホルモン)が上昇
- レプチン(満腹ホルモン)が低下
- セロトニン(精神安定ホルモン)が減少
という、食欲が強くなる条件が揃います。
さらに更年期女性は、
- 更年期でセロトニンが低下しやすい
- ストレスでコルチゾールが上がりやすい
- 夕方に“脳の疲労”がピークに達する
ため、甘いもの欲が強く出やすいのです。
これは「意志が弱い」のではなく、
脳がエネルギーと安定を求めている自然な反応。
夕方の甘いもの欲は、
- ナッツ
- チーズ
- カカオ70%以上のチョコ少量
- さつまいも
など質の高い食品で“満足感”を与えるのが効果的です。
夜:食欲が暴走しやすいのは“自律神経の切り替え”が原因
夜になると、体は副交感神経が優位になり、リラックスモードに入ります。
このとき、消化管の動きが活発になるため、帰宅後に急にお腹が空くのは自然な生理現象です。
特に更年期女性は、
- 仕事や家事で交感神経が優位な時間が長い
- 帰宅後に一気に副交感神経が優位になる
- その反動で“食欲スイッチ”が入る
という流れが起こりやすい。
さらに、夜はメラトニンが分泌され始め、
血糖値を下げる働きが弱くなるため、脂肪が蓄積されやすい時間帯でもあります。
つまり、
夜の食欲は「出やすい」うえに「太りやすい」
という、ダブルのリスクがあるのです。
帰宅後の“副交感神経スイッチ”を味方にする食べ方
帰宅後にお腹が空くのは自然な反応なので、
「食べないように我慢する」より「整えて食べる」
ほうが長期的にうまくいきます。
おすすめは、
- 温かい汁物(味噌汁、スープ)
- 温野菜
- 豆腐、卵、白身魚など消化の良いたんぱく質
- 少量の炭水化物(雑穀米、さつまいも)
副交感神経が優位な夜は、温かい食事が特に効果的。 特に出汁の効いた汁物は満足感を与え、食欲を抑えます。
消化がスムーズになり、睡眠の質も上がります。
更年期女性の食欲は“ホルモンの波”に寄り添う
食欲の日内変動は、
- グレリン
- レプチン
- セロトニン
- コルチゾール
- メラトニン
- 自律神経(交感・副交感)
これらのリズムで決まっています。
更年期の影響で、このリズムが乱れやすく、「食べたい波」が強く出るのは自然なこと。
だからこそ、
食欲を“抑える”のではなく、“波に合わせて整える”
という視点が大切です。
まとめ
食欲の波は「意志」ではなく「体の仕組み」。これを理解すれば、対策もわかります。
更年期は、体のリズムに寄り添う食べ方が、心も体も軽くしてくれますね。
参考
- 齋藤望・前田朝美. 「食欲の日内リズムの違いによる食品摂取の季節的変動」東北女子大学紀要.
- 福田裕美. 「概日リズム調節における光と食事の影響に関する研究動向」福岡女子大学.
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