「とうふ」と言いながら豆腐ではない
「胡麻どうふ(ゴマ豆腐)」は、仏教寺院での精進料理として生まれた植物性食品です。
現在では、動物性食材を使用しない「プラントベース食品」としても評価が高まり、健康志向の高い方やヴィーガン層からも注目されています。
主原料は、練りごまとでんぷん(本葛粉、片栗粉など)のみ。火にかけてじっくり練り上げ、冷やし固めることで独特のクリーミーな食感と香りを引き出します。
「とうふ」と言いながら、大豆から作られる豆腐とは異なるもの。そんな胡麻どうふの栄養、歴史、未来への可能性についてまとめました。
胡麻とうふの栄養と健康効果
胡麻どうふの主成分であるごま(胡麻)には、次のような栄養素が豊富に含まれています。
<胡麻の主な栄養成分>
セサミン・セサモールなどのゴマリグナン類
強い抗酸化作用があり、アンチエイジングや生活習慣病、肝臓機能のサポートに効果が期待されている。
オレイン酸・リノール酸などの不飽和脂肪酸
血中の悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化や高血圧の予防にも。
カルシウム・マグネシウム・鉄分などのミネラル
骨粗しょう症や貧血予防に。
食物繊維・たんぱく質
腸内環境の改善や筋肉・代謝維持にも効果的。
各地の胡麻どうふ文化、味と食感の違い
胡麻どうふは主に精進料理として、日本各地の寺院で独自の製法や味わいが確立されてきました。胡麻の種類や使用部分や作り方に違いがあり、それよって風味や見た目にも個性が表れています。宗派や歴史、文化の違いが表れる点でも興味深い食品です。


主に「白胡麻どうふ」「黒胡麻どうふ」「金胡麻どうふ」と3種類あり、それぞれ使用する胡麻の種類によって色や味、香りなどにも違いが出てきます。
- 高野山(和歌山県):とろけるようななめらかさ
- 永平寺(福井県):ごまの味が濃く、弾力ある食感
- 長崎(寺町エリア):甘味を感じる独特の味付け
胡麻どうふと並ぶ、注目のプラントベース食品
日本には胡麻どうふのほかにも、下記のように優れたプラントベース食品が多数存在します。胡麻どうふはそのうちの1つとして、訪日外国人にも人気の食品です。
- 納豆:植物性たんぱく質と発酵食品としての機能性を併せ持つ
- 豆腐・湯葉:大豆製品の代表格、低カロリー・高たんぱく
- こんにゃく:低カロリーで腸内環境を整える働きがある漬物類:発酵の力とミネラルを含む和の保存食
- もち麦・雑穀米:食物繊維豊富で血糖値コントロールにも有用
胡麻どうふの未来と可能性
胡麻どうふは、単なる“健康に良い和食”にとどまりません。豆腐や納豆に比べると、今一つ存在感が薄い胡麻どうふですが、実はサステナブルで文化的価値も高く、さらに国際展開可能な食品としてのポテンシャルを秘めています。
・保存性と簡便性の高さ(常温対応商品も多い)
・味付けの自由度の高さ=多文化対応力
これらの理由から海外のマーケットとの親和性も高く、日本の伝統食でありながら、未来志向の価値を秘めています。
忙しい人にこそおすすめ、アレンジ自由な胡麻どうふレシピ
常備食にもなる胡麻どうふは、調理不要でそのまま食べられる手軽さが魅力です。腹持ちが良く少量でも満足感を得ることができます。
もちろん、そのまま食べてもおいしいですが、いろいろな調味料と相性がいいのも魅力。黒蜜や和三盆糖などをかけると甘味にもなります。
もう一品おかずが欲しいときや、小腹がすいたときの時短レシピとしても重宝します。以下を参考に、日常の食卓の一品として使ってみてはいかがでしょうか。
人気の胡麻どうふレシピ例
(※ふじや食品webサイトより)
胡麻どうふの春巻き

<材料>
白胡麻どうふ:1個(みそたれ付)/春巻きの皮:6枚/あらびき胡椒、揚げ油
<作り方>
1.胡麻どうふを6等分に切る。
2.春巻きの皮に胡麻どうふをのせ、お好みで胡椒をかけ包む。
3.油で揚げ、みそたれをつけて完成。
胡麻どうふのクリーミードリア

<材料>
白胡麻どうふ:1個(みそたれ付)/味付けライス:150g(ご飯、玉ねぎ、ベーコン、塩、黒胡椒、コンソメ、ケチャップ)/マヨネーズ/飾り用刻みパセリ
<作り方>
1.胡麻どうふを6等分に切る。
2.春巻きの皮に胡麻どうふをのせ、お好みで胡椒をかけ包む。
3.油で揚げ、みそたれをつけて完成。
胡麻どうふのプリン

<材料>
白胡麻どうふ:1個/牛乳:120ml、砂糖:大さじ3/飾り用 ホイップクリーム、ミントの葉
<作り方>
1.鍋に胡麻どうふ、牛乳、砂糖を入れ加熱して溶かす。
2.器に1を入れる。
3.冷蔵庫で冷やして固めて完成。
まとめ:伝統と健康が両立する“静かな主役”
胡麻どうふは、手軽でありながら高機能。毎日の食事に取り入れることで、体と心のバランスを整える「お助け食品」にもなります。
和食の良さが見直され、植物由来の食生活(プラントベース)に注目が集まる今、胡麻どうふを手に取って、もっと活用していきましょう。
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