乳がんは年々増加しており、日本では女性に最も多く見られるがんの一つです。国立がん研究センターの2020年のデータによると、日本人女性の約9人に1人が生涯のうちに乳がんを発症するとされています。年齢が上がるにつれて罹患率も高くなり、特に40歳代から50歳代にかけての発症が多くなっています。最近の研究では、食生活が乳がんの発症や治療後の経過に大きく関係していることがわかってきました。ここでは、乳がんリスクを高める食事と、リスクを下げる食事について、ご紹介します。
乳がんリスクを高める食事とは?
以下のような食品を日常的に多く摂ると、乳がんのリスクが高まる可能性があります。
食品の種類 | 食品 | リスクの理由 |
飽和脂肪酸が多い食品 | バター、脂身の多い肉、揚げ物など | ホルモンバランスの乱れや炎症を引き起こす |
赤肉・加工肉 | 牛肉、ハム、ソーセージなど | 発がん性物質の生成や腸内環境の悪化 |
アルコール | ビール、ワイン、日本酒など | エストロゲン濃度の上昇やDNA損傷 |
加工済みの市販食品 | レトルト食品、スナック菓子、インスタント麺など | 栄養バランスが偏り、炎症を促進する |
高GI・GL食品 | 白パン、白米、甘い菓子など | 血糖値の急上昇がホルモンに影響を与える |
これらの食品は「便利でおいしい」反面、長期的に摂りすぎると体内の炎症やホルモンの乱れを引き起こし、乳がんのリスクを高める可能性があります。
乳がんリスクを下げる食事とは?
一方で、以下のような食品は乳がんの予防や再発リスクの低減に役立つとされています。
食品の種類 | 食品 | 期待される効果 |
果物・野菜 | りんご、みかん、ブロッコリー、ほうれん草など | 抗酸化作用で細胞の老化を防ぐ |
大豆製品 | 豆腐、納豆、豆乳など | 女性ホルモンに似た働きでホルモンバランスを整える |
食物繊維が豊富な食品 | 玄米、全粒パン、野菜、海藻など | 腸内環境を整え、エストロゲンの排出を促す |
魚(特に脂の多い魚) | サバ、イワシ、サンマなど | オメガ3脂肪酸による抗炎症作用 |
ビタミンC/D/E・リグナン(ポリフェノール) | 柑橘類、きのこ、ナッツ、亜麻仁など | 免疫力を高め、細胞の修復を助ける |
特に「地中海型食事」と呼ばれる、野菜・果物・魚・豆類を中心とした食生活は、乳がんの発症だけでなく、治療後の再発や死亡リスクの低減にも効果があるとされています。
食事の見直しは40代からが効果的
40歳を過ぎると、ホルモンバランスの変化や代謝の低下により、乳がんのリスクが高まる傾向があります。だからこそ、今の食生活を少し見直すだけでも、将来の健康に大きな差が生まれます。
例えば
- 朝食に果物を加える
- おやつをスナック菓子や甘い菓子からナッツやドライフルーツに変える
- 週に2回は魚料理を取り入れる
- 加工食品を減らし、手作りの食事を心がける
こうした小さな工夫が、乳がん予防につながるのです。
最後に
食事は「薬」ではありませんが、日々の積み重ねが体を作ります。40歳以上の女性にとって、乳がん予防のための食生活は「自分を守る力」そのもの。無理なく、楽しく、少しずつ取り入れてみてください。
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