お客様からトレーニングセッション中に「鬼トレーナー」と言わる「女性の心と体を癒すかかりつけアドバイザーの松田幸子」です。
「私はもういい年なのよ。」
「はいはい、わかりました。じゃ、ダンベルもってください。」
「この鬼!(笑)仕方ないわね、やるわよ。」
ほぼ毎回です(笑)。それでもお客様が何年もトレーニングセッションを続けているには理由があります。
実年齢と体年齢
前回の記事では高齢者体操教室の受講者とある約束をしたと書きました。
- 自分が出来ることを選択し、しっかり実施する
- 教室でやったことを1つでも覚えて自宅で実施する
私の個人セッションも同じ考え方で実施しています。
最近、健康雑誌では体年齢を若返らせようという特集が多くなりました。一般的に体年齢は体内年齢とも言われ体組成(体脂肪率や筋肉量など)と基礎代謝量から体の状態を年齢で表したものと言われます。私はお客様がわかりやすいように「出来ること=体年齢」とお伝えしています。去年出来たことが今年も出来たら1歳実年齢より若いと言えばイメージしやすいと思います。
前述のお客様は重さをかけたトレーニングをやりたくないという「甘え」が出る方です。でもそれをやらないと体が動きにくくなるのもわかっています。「鬼!(笑)」と言いながらも、帰りには「あー、動きやすい」とニコニコして帰られます。
「便利」は体年齢を衰えさせる
近年、日常生活に使える便利な道具が増えました。時短になり、とてもよいのですが、便利なものが増えれば増えるだけ、身体活動量の低下をよんでしまいます。例えば
- 階段を昇っていたのに、エスカレーターを使うようになった
- 掃除機を自分でかけていたのに、ロボット掃除機に変えた
- スーパーで買い物をしたら、配送をお願いするようになった
いろいろな運動をすることだけが介護予防ではありません。
日常生活で出来ることはとにかく続ける
これが家庭で出来る介護予防になります。
高齢になって体年齢を取り戻した母
「優しい娘」がもたらした弊害
私の母は、体があまり丈夫な方ではありませんでした。そのため、なるべく気を利かせて私が先読みし動くことが多かったと思います。
母は年を重ねるにつれ、あまり外に出ず、テレビを1日中みて、ずっと座って過ごす生活になりました。私がいくら家で出来る運動を伝えても
「体が痛いから」「私はもう年だから」
と動こうとはしません。優しい娘は半ば諦めモードになり、母は70代前半で徐々に背中が丸くなり、70代後半では背中がカギ括弧のように丸くなりました(円背:えんぱい)。
「鬼娘」に変身 体年齢を取り戻した母

母は立位や歩行時、いつも膝に手をつき、腕で体を支えるようになっていました。歩行はすり足です。そこで私は鬼娘になることを決めました。鬼娘が、母にさせたのは2つ。
- 毎日洗濯物を洗う、干す、取り込む、たたむ
- 自分で昼食の準備をする
我が家は洗濯物を外に干して乾燥します。母は水を含んだ重い洗濯物を一度にベランダに持って行けません。なんどか往復します。そして干す度に体を伸ばし、腕を上にあげます。取り込むのも同じです。たたむときには手先を使ってたたみます。これが筋トレになり脳に刺激を与えました。
また昼食のため、自宅から近いスーパーに行くことが増えました。歩くことはもちろん、支払いのためにお金の計算をし、店員さんと話をする社会活動を増やすことが出来ました。
この2つを続けていくことで、カートを使ってはいるものの、80歳近くになると歩くスピードが早くなりました。
「鬼」の真の心は「優しさ」
トレーナーとして考えると「鬼娘」は「高齢者が自立して活動できるための優しさ」だと思います。
高齢者は出来ないことが増えると、気持ちが落ち込み、認知症と間違われる高齢者うつになることがあります。鬼娘はそのような事態の防波堤になる役目だと思っています。
「優しさが根底にある鬼娘」は自分、また家族が円満に過ごせるための1つの考え方。出来ることはなるべく取り上げず、見守ることが介護予防として大切なことだと思います。
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