食文化

旬を味わう ~ふきのとう編〜 枯草の下で春を待つ、小さな芽吹き

3月後半になると、一気に春が近づいてくるように感じます。
八ヶ岳でも、ふきのとうが顔を出し始めます。

冬の間は、針葉樹以外の木々は葉を落とし、
地面も景色も茶色一色。
そんな中で、気温がほんの少しゆるむと、
真っ先に地面から顔を出すのがふきのとうです。

ふきのとうとは

あらためて「ふきのとう」とは何か。

ふきのとうは、ふきの蕾(つぼみ)の部分です。
花が咲いたあと、地下茎から伸びてくる葉が、私たちがよく食べる「ふき」です。
少量でも香りが強く、ほろ苦さが特徴の春の山菜です。

ふきのとうには「ピロリジジンアルカロイド類」という天然毒素が含まれています。
苦みもあるため大量に食べるものではありませんが、通常の食べ方で健康被害が報告されているわけではありません。

この成分は加熱では減りませんが、水に溶けるため、あく抜きによって減らすことができます。
また、カリウムやビタミンE、葉酸なども含まれますが、
栄養を摂るというよりも「春を感じるための食べ物」と言えるでしょう。

枯草の中から見つけるコツ

地面から顔を出しているふきのとうを見つけるのは簡単です。
けれど慣れてくると、まだ枯草ばかりの中からでも見つけられるようになります。

ふきは大きな葉をつける植物で、
冬になるとその葉が枯れて地面に張り付くように残っています。
その枯葉をたどっていくと、
その下や近くにふきのとうが顔を出していることが多いのです。

ふきの葉をたどって枯草をよけていくとまだ固いつぼみを見つけます。すぐに取らず再び枯葉で覆っておくこともしばしば。

枯草の下で、春を待つ

以前の私は、
ふきのとうは春になってから出てくるものだと思っていました。

けれどある年、晩秋の時期にすでにできているのを見つけました。

枯草の下で、じっと春を待っているのです。
八ヶ岳では、冬は氷点下10度以下の朝もあり
春先までは霜が降ります。

その厳しい冬を越えて、ようやく春に顔を出すのです

そう思うと、なんともいとおしい気持ちになります。
年を重ねるにつれて、こうした光景から
人としての在り方を教えられているように感じることがあります。

厳しい季節を忍耐強く越えて、芽を出す。
そんな姿に、つい人生を重ねてしまうのです。

ふきみその作り方

(材料)作りやすい分量
・ふきのとう 大きめ13~15個(90~100g)
・油 大さじ2と1/2

A
・みそ 大さじ4
・みりん 大さじ2
・砂糖 小さじ1

(作り方)
① Aを合わせておく


② ふきのとうを細かく刻む(色が変わっても気にしなくてOK)
③ フライパンに油を熱し、②を炒める
④ 油が回ったら①を加え、水分を飛ばしながら炒める(油がはねやすいので注意)

保存容器に入れて冷蔵庫で約2週間保存可能です。
そのままでもおいしいですが、
鶏ひき肉を加えると食べやすくなり、子どもにもおすすめです。
マヨネーズと合わせれば、ディップやソースとしても楽しめます。

春の香りを、少しだけ

ふきのとうは数個でもしっかりと香りを感じられる食材です。
天ぷらやふきみそなど、少しずつ。
春の香りを楽しんでみてください。

参考:「ふき・ふきのとうはあく抜きして食べましょう」農林水産省https://www.maff.go.jp/j/pr/annual/pdf/hukinotou.pdf
「春・冬の旬野菜 フキノトウ」JAグループ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=117
調理用語辞典 社団法人全国調理師養成施設協会編

  • 投稿した人
  • 投稿者の新着記事
月野和美砂

月野和美砂

季節の手仕事で整える 食文化ナビゲーター

公認スポーツ栄養士・管理栄養士。元教員。八ヶ岳と行き来しつつ、神奈川県を中心にスポーツ栄養セミナー、子育て期の保護者向け講習会をリアル・オンラインで行う。鍼灸柔整専門学校で栄養学も担当し身近な話でわかりやすい!と好評。時短や簡便な料理が全盛な世の中でも、季節の手仕事や各地の郷土料理など“つくる楽しさを味わう”ことを大切にしたいと考えている。食を通してからだもこころも「整える暮らし」を提案する。

  1. 旬を味わう ~ふきのとう編〜 枯草の下で春を待つ、小さな芽吹き

  2. 旬を味わう ~上田紬編〜 旅先で出会った、布が生まれるまでの静かな時間

  3. 旬を味わう ~さくら湯編〜 門出にそっと寄り添う、日本の小さな春のならわし

アクセスランキング
24時間
1週間
1カ月
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

関連記事

TOPへ戻る