食事

お酒とアレルギーの意外な関係。体調に合わせた「心地よいお付き合い」と思いやり

仕事に家事、育児、介護、そして自分自身のケア。
多方面でタスクのあるみなさんにとりましては、1日の終わりに、週末に、または友人との集まりで楽しむ一杯のお酒は、日々の緊張をほぐしてくれる特別なご褒美時間ではないでしょうか。
5月下旬となり、新緑の時期に屋外で飲むアルコールは一段と美味しく感じられる季節ですね。

このコラムを読んでいるみなさん、もしくはみなさんの身近な方がアレルギー体質の場合、お酒との付き合い方には少しだけ知っておいてほしい「大切なポイント」があります。

「お酒を飲んだら、なぜかいつもより目が痒くなった」
「普段は平気な食べ物なのに、お酒を飲んでいるときに限ってじんましんが出た気がする……」
そんな経験や思いはありませんか?
今回は、お酒がアレルギー症状に与える影響と仕組み、そして誰もがお酒の席で心地よく過ごすためのヒントについて紹介していきます。

アルコールはアレルギー症状の「引き金」になりやすい

「お酒そのものにアレルギーがあるわけではないのに、飲むとアレルギーのような症状が出る」
その理由は、体内でアルコールが分解されるプロセスが深く関係しています。
アルコールを摂取すること自体が、アレルギー症状を呼び起こす「誘発の引き金」になることがあると言われています。
体の中では、主に以下のような3つの変化が起こりやすくなっているのです。

  1. 血流が良くなり、皮膚の赤みや痒みが強まる
    アルコールが分解されてできる「アセトアルデヒド」には、血管を拡張させる作用があります。血行が良くなることで、皮膚の強い痒み(じんましん)や、鼻の粘膜が腫れることによる鼻詰まりなど、炎症症状をいつも以上に引き起こしやすくさせます。
  2. かゆみの原因「ヒスタミン」が体内に残りやすくなる
    アルコールには、アレルギーの痒みやくしゃみの原因となる「ヒスタミン」を体内で放出させやすくする刺激があります。さらに、一時的にヒスタミンを分解する酵素の働きを弱めてしまうため、体にかゆみの原因が残りやすい状態を作ってしまいます。
  3. 腸のバリア機能が緩み、アレルゲンが吸収されやすくなる
    アルコールが胃腸の粘膜を刺激すると、不要なものをブロックする腸の「バリア機能」が一時的に緩んでしまうことがあります。その結果、普段ならきちんと消化・ブロックされているはずの食べ物の成分(アレルゲン)が血液中に取り込まれやすくなり、食物アレルギー症状を誘発する可能性が指摘されています。

食物アレルギー・喘息(ぜんそく)の方の注意点


アレルギーのタイプによって、お酒を飲んだときに注意したいポイントは異なります。
• 食物アレルギーをお持ちの方
「腸のバリア機能の低下」により、お酒を飲んでいるときは、普段よりも少量の食べ物で症状が出ることがあります。「いつもならこのくらい大丈夫」という基準が変わるため、おつまみ選びはいつも以上に慎重になると安心材料となります。

喘息(ぜんそく)のある方
アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドが気管支を収縮させるため、飲酒後に咳やゼーゼー感が出やすくなる場合があります。「少し胸が苦しいな」と感じたら、それは体が発しているサインです。無理をせず飲酒を控え、水分をしっかり摂りましょう。

一番の要注意サインは「蓄積された疲労」


「今週は子どもの行事や仕事がハードだった」
「寝不足が続いているけれど、楽しみにしていた飲み会だから・・」という日もありますよね。
しかし、疲労やストレスが溜まっているときの体は、自分が思っている以上にデリケートです。免疫のバランスが揺らいでいるため、普段なら何ともない量のお酒でも、体が処理しきれずにアレルギー症状が出やすくなるケースがあります。

過信は禁物です。「少し疲れているな」という日は、お酒の量をいつもの半分にしたり、ノンアルコールカクテルや炭酸水を選んだりして体をお休みさせてあげることも、大人の素敵なセルフケアです。


体への負担を減らす「お酒との上手な付き合い方」


アレルギー症状の誘発を防ぎ、健やかに楽しむための具体的な対策です。
空腹での飲酒を避ける
空腹時はアルコールの吸収が早くなり、胃腸への刺激が強くなります。飲む前には、たんぱく質や脂質を含む軽い食事(チーズ、冷ややっこ、刺身など)をつまんでおきましょう。
お酒と同じ量の「水」を飲む
お酒1杯ごとにコップ1杯程度の水を挟む(チェイサーを作る)ことで、脱水予防や飲み過ぎ対策になり、体への負担を格段に減らすことができます。
「1日の適量」を意識する
アレルギー症状の誘発を防ぎ、健康的な生活を送るためには、飲む「量」をコントロールすることも非常に大切です。厚生労働省の基準では、1日平均の純アルコール量を「約20g(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)」としています。※女性は男性に比べてアルコールの分解速度が遅いため、この半分〜半分強程度(ビールならグラス1〜2杯程度)がより推奨されます。

「お互いの体調」を思いやる、心地よいひとときを
アレルギーの出やすさや、その日の体調は一人ひとり異なります。

特にママ友との集まりや外食の席で、「周りに合わせなきゃ」「今日お酒を断ったら雰囲気を壊してしまうかも」と思う方もおられると思います。
もしも、お酒の席で誰かが「今日はお酒を控えておくね」「ノンアルコールにしておくよ」と言ったときは、「一杯くらい飲めばいいのに」と言わずに、温かく受け止めてあげましょう。
お互いの体調を思いやる優しい心が、大切な人たちと心地よい時間を過ごす一番の秘訣です。

次回予告:実は「お酒そのもの」にもアレルゲンが……?

今回は、アルコール成分が体に与える影響と、症状を誘発する仕組みについて紹介しました。

しかし、お酒とアレルギーの関係では他にも注意すべき点があります。実は、「お酒の原材料や製造プロセス」そのものに、アレルゲンが隠れていることがあるのをご存知でしょうか。

普段何気なく口にしているお酒には、アレルギー体質の方にとって注意が必要な成分が含まれていることがあります。

次回のコラムでは、「お酒を飲む際に気を付けるアレルゲン」について、見落としがちな点を含めて詳しく解説していきます。 安心してお酒の場を楽しむために、次回のコラムも併せて活用して頂けたらと思います

【参考資料】

1.厚生労働省 (2024)健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html

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乳井美和子

乳井美和子

アレルギーと環境起因疾患から身を守るサポーター

管理栄養士。長年食物アレルギーなどのアレルギー疾患患者の食事や生活指導を行っている。食事や環境を整え、より豊かな暮らしに導くヒントを広める活動を展開中。

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