食文化

〜旬を味わう~ わらび  八ヶ岳の春をいただく

八ヶ岳の庭に、春の気配

こんな風に生えてきます。

八ヶ岳の標高1250mにある庭では、ようやくわらびが顔を出し始めました。 
ぽつり、ぽつりと土の間からのぞく姿を見ると、「今年もこの季節が来たな」と思います。

この場所は、わらび採りを楽しむために手に入れた土地です。 
わらびというと春先の印象がありますが、冷涼な八ヶ岳では、なんと7月末まで採ることができます。 
長い春を味わえる、ぜいたくな土地です。

わらび以外にもふき、タラの芽、山三つ葉などがとれます。

“草”を食べるということ

ふだん中学生のスポーツ選手と接していると、 
「野菜は草だから食べません」 
と、野菜嫌いの言い訳をする子がいます。

でも、わらびはまさに“草”。 
そのままではえぐみが強く、とても食べられません。 

そして採り遅れると、あっという間に硬いシダになってしまいます。
野に生える草だからこそ、手間をかけて“食べられる形”にしてきた先人の知恵があるのだと感じます。

灰であくを抜く、昔ながらの方法 

採ったわらびは、ここからが本番。 
まずは「あく抜き」をします。
私は冬に薪ストーブを焚いたあとに残る灰を使います。 

重曹でもできますが、母曰く 「灰がいちばんうまくいく」 とのこと。 

確かに灰で失敗したことはありません。

やり方はとてもシンプルです。 
採ったわらびにひと握りの灰をふりかけ、 そこに熱湯をたっぷり注いで半日置く。 

この後さらに熱湯をかけわらびが浸るようにします。

その後、水を替えながら灰を洗い落とし、 さらに透明な水に半日さらします。
最後に軽くゆでてから切ったり味付けしたり…。 

下処理が終わったわらび。これを以前、中途半端に終わらせるとえぐみが残り食べれませんでした。

食卓にのぼるまでに、実はこんなに手間がかかっています。

冬に出た灰が、春のわらびの処理に役立つ。 
はじめての頃「なんてうまくできているんだろう」と感じました。
この循環の美しさにいまだに感心します。 

昔の人はどうやってこの方法を見つけたのでしょう。

わらびが出る“地温”の話 

わらびは、地温が10〜13℃ほどになると芽を出すのだそうです。 
今の八ヶ岳がその時期なのでしょう。 

数日前で朝の気温は6℃くらい。
晴れたら日中20℃くらい、それより上がる日も出てきました。
雨だと最高気温は12℃くらいの時もあります。それがこの土地の環境です。

ここから7月末まで、毎日のようにわらびが出続けます。

簡単に食べる、春の一皿

下処理に時間がかかる分、調理は簡単に。 
わらびと新玉ねぎを合わせた、春らしい一品です。

わらびと新玉ねぎのごま油めんつゆあえ

シンプルでおいしい。

(材料) 
・下処理済みのわらび 
・新玉ねぎ 
・ごま油 
・めんつゆ 
・(あれば)白いりごま
・(お好みで)マヨネーズ 

(作り方) 
① わらびは沸騰した湯で1分ほどゆでる。 
② 新玉ねぎはスライサーか包丁でごく薄く切る。 
③ ①と②を合わせ、器に盛り、ごま油とめんつゆをかける。 
★マヨネーズを少し加えてもよく合います。

草と野菜、その違いを思う

野菜嫌いの子には、草も野菜も同じように見えるのかもしれません。 
でも野菜は、人の口に合うように長い時間をかけて改良されてきたもの。 

一方で、わらびや今の時期のふきなど、野に生える草は、食べられるようにするまでに手間と時間がかかります。
その手間こそが、季節の味わいを深くしてくれるのだと思います。

★八ヶ岳だと北杜市大泉の「パノラマ市場」国道141号線「おいしい市場」ならわらびが手に入るかもしれません。(あく抜きは重曹を使ってください。)あとは標高の高い場所が近い農産物直売所ならまだ手に入るかと思います。
ドライブがてら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

これは昨年の画像。すぐ前に「パノラマ温泉」があります。

  • 投稿した人
  • 投稿者の新着記事
月野和美砂

月野和美砂

季節の手仕事で整える 食文化ナビゲーター

公認スポーツ栄養士・管理栄養士。元教員。八ヶ岳と行き来しつつ、神奈川県を中心にスポーツ栄養セミナー、子育て期の保護者向け講習会をリアル・オンラインで行う。鍼灸柔整専門学校で栄養学も担当し身近な話でわかりやすい!と好評。時短や簡便な料理が全盛な世の中でも、季節の手仕事や各地の郷土料理など“つくる楽しさを味わう”ことを大切にしたいと考えている。食を通してからだもこころも「整える暮らし」を提案する。

  1. 〜旬を味わう~ わらび  八ヶ岳の春をいただく

  2. 旬を味わう ~たけのこ編〜 春の台所で知る、昔ながらの知恵とおいしさ

  3. 旬を味わう ~ホタルイカ編〜 富山・福井の春を思いながら、味わう一皿

アクセスランキング
24時間
1週間
1カ月
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

関連記事

TOPへ戻る