ウォーキング

その歩き方、実は「老化」を早めていませんか? 整形外科医が教える50代からの骨と関節を守るメソッド

ふと、街中のショーウィンドウに映った自分の姿を見て、「なんだか、思っていたより老けて見える……」と立ち止まったことはありませんか。

健康のためにと毎日歩いている方ほど、その熱心さが裏目に出て、知らず知らずのうちに膝や腰を痛めつけている場合があります。50代からのウォーキングにおいて大切なのは、量(歩数)よりも「質(フォーム)」です。

今回は、まえだ整形外科リウマチクリニックの前田俊恒院長に、医学的な視点から「骨と関節を守り、10年後も軽やかに歩き続けるためのメソッド」を伺いました。(文・前田俊恒院長/編集・飯田みさ代)

あなたの「歩行年齢」を客観的に見つめる

まずは、現在の歩き方をチェックしてみましょう。以下の項目で、ご自身に当てはまるものはありますか?

【姿勢・体幹】
□ 歩くとき、気づくと背中が丸まっている
□ 首やあごが前に突き出ている
□ 長く歩くと腰に重だるさを感じる

【脚の運び】
□ 歩幅が以前より狭くなった
□ 靴の裏を地面にこする「すり足」気味である
□ 何もないところでつまずきやすくなった

【足の着地】
□ 足裏全体で「ドスン」と着地している
□ かかとから着地している感覚が薄い
□ 靴底の減り方が、左右で大きく違う

【腕振り・バランス】
□ 腕をあまり振らずに歩いている
□ 歩くときに体が左右に揺れやすい

【判定:あなたの現在地は?】
チェック0〜3個:理想的な歩行関節への負担が少ない状態です。自信を持って今のフォームを続けましょう。
チェック4〜7個:改善の伸びしろあり姿勢の崩れが始まり、疲れが出やすくなっています。意識一つで痛みは予防できます。
チェック8個以上:関節トラブル予備軍膝や腰への負荷が蓄積しています。放置すると将来的な痛みや転倒リスクに繋がるため、早急な見直しが必要です。

【前田院長のアドバイス
チェックが多いからといって、落ち込む必要はありません。これらは年齢のせいではなく、多くが「歩き方の癖」によるものです。歩き方を整えることは、薬に頼らず健康寿命を延ばす、最も誠実なセルフケアと言えるでしょう。

なぜ、50代から「歩き方」に変化が現れるのか

50代女性の多くが直面する歩き方の変化。そこには医学的な背景があります。

最大の要因は、閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。これにより、筋肉量は年間1%前後減少すると言われており、特に姿勢を支える「脊柱起立筋」や、脚を振り出す「腸腰筋」の衰えが顕著になります。

筋肉が弱まると、体は重力に抗えず、無意識に「楽な姿勢(=前かがみ)」を取ろうとします。これが歩幅を狭め、関節の柔軟性を奪い、結果として「老けて見える歩き方」を形作ってしまうのです。

整形外科医が教える「一生モノ」の歩き方、4つのポイント

老化のスパイラルを止めるために、意識したい4つのポイントをまとめました。

1、「頭上から吊られる」意識で軸を整える
無理に胸を張ると反り腰の原因になります。頭のてっぺんを糸でスッと引っ張られているイメージで背筋を伸ばしてください。これだけで背骨への負担が最小限に抑えられます。

2、「かかと→足裏→つま先」のローリング
足裏全体で着地せず、かかとから着地してつま先へ体重を逃がす「ローリング動作」を意識しましょう。これが天然のクッションとなり、膝への衝撃を劇的に和らげます。

3、「後ろに引く」腕振りで体幹を起動させる
腕は前に振るよりも「後ろに引く」ことを意識してください。肩甲骨が動くことで背中の筋肉が刺激され、自然と歩幅が広がります。

4、「股関節」から脚を振り出す
膝下だけでちょこちょこ歩くのではなく、足の付け根(股関節)から一歩を踏み出すイメージ。これにより、お尻の大きな筋肉(大殿筋)が使われ、代謝も上がります。

靴選びは「関節の寿命」への投資

ウォーキングの効果を左右するのは、実は「靴」です。研究データでは、不適切な靴は膝への負荷を最大30%増加させると報告されています。

かかとが硬く、しっかり固定されるもの
つま先部分が適度にしなるもの
足のサイズ(長さだけでなく、幅や甲の高さ)が合っているもの

「脱ぎ履きが楽だから」と大きめのサイズを選んだり、底が薄すぎる靴を選んだりすることは、関節にとって不誠実な選択になりかねません。靴を新調する際は、足が最もむくむ「夕方」に試着することをお勧めします。また、両足でしっかり、試し履きをしてください。

50代は「身体を再構築する」絶好のチャンス

50代になって「もう年だから」と諦める必要は全くありません。むしろ、これからの数十年を支える身体機能を再構築できる、大切なターニングポイントです。

まずは「毎日30分」と気負わず、「買い物への10分」から正しいフォームを試してみてください。もし歩くときに痛みやしびれを感じる場合は、無理をせず、早めに私たち専門家へご相談ください。

一歩一歩の質を変えることが、あなたの10年後、20年後の景色をより明るく、軽やかなものに変えていくはずです。

前田俊恒

まえだ整形外科リウマチクリニック院長

   

前田俊恒(まえだ・としひさ)

医学博士、整形外科専門医、リウマチ専門医、リハビリテーション科専門医。肩こり・腰痛・関節痛などの慢性疼痛から、関節リウマチ、骨粗鬆症まで幅広く診療。日常生活に根ざした運動指導・セルフケアの啓発、ウォーキングの効用についても、医学的根拠に基づいた分かりやすい解説を行っている。

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飯田みさ代

飯田みさ代

大人女子健康プロデューサー/ウォーキング講師

記者・編集者として日刊スポーツ新聞社に34年間勤務。紙面だけでなく、Webやモバイルサイトのコンテンツ制作にも長く携わる。ジュニアアスリートの食事を支える情報サイト「アスレシピ」では編集長を務め、成長期の子どもを持つ保護者、特に母親たちから多くの支持を集めた。

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