「骨粗しょう症」と聞くと、「まだ自分には関係ない」「もっと年をとってから考えればいい」と思う方も多いのではないでしょうか? しかし、骨の老化は40代からすでに始まっているといいます。
気付かないまま進行する骨粗しょう症とその予防について、沢岻(たくし)美奈子女性医療クリニックの押切佳代院長が説明してくれました。
「骨粗しょう症」は、年配の人だけの問題じゃない
骨の老化は、40代あたりから始まっていることをご存じですか。特に女性は、閉経を境に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します。このホルモンは骨を守る役割を担っており、減ることで骨密度は大きく低下してしまいます。
見た目には何も変わらないまま、じわじわと“骨がスカスカ”になっているかもしれません。
自覚症状がないからこそ、気づいたときには遅いことも
骨密度が下がっていても、痛みや不調が出るわけではありません。気づいたときは、骨粗しょう症が進んでしまっていて、くしゃみやちょっとしたつまずきで骨折してしまうことも少なくありません。
特に多いのが、次のようなケースです。
- 背骨の圧迫骨折:原因がわからないまま、徐々に姿勢が崩れ、背中の痛みが慢性化
- 太ももの付け根の骨折:手術や入院が必要になり、そこから要介護に進むリスクも
骨がもろくなると、日常生活にも大きな影響が出てきます。生活の質(QOL)を大きく低下させる原因となるのです。

長生きするのに欠かせない「骨の健康」
現在、女性の平均寿命は87歳ですが、介護等の手助けを受けずに自立して生活できる「健康寿命」は75歳前後といわれています。
せっかく長生きするなら、元気に、好きなことをしながら生きたいですよね。そのために欠かせないのが「骨の健康」です。
骨の健康を守ることは、「将来の自立した暮らし=健康寿命」を延ばす第一歩です。何歳になっても「自分の足で歩ける」ことは、人生の自由を支えてくれます。
骨の検査、受けたことありますか?
そんなことは分かっている、と思っていても意外と見逃されがちなのが、「骨密度検査」です。多くの方が会社や自治体の健康診断を受けていますが、骨密度は通常の健診項目に入っていないことが多く、自分で申し込む必要があります。
特に、こんな40代以上の女性は要注意です。
- 生理が不規則、または閉経した
- 痩せ型で食事量が少なめ
- 運動習慣がない
- 日光をあまり浴びない
- 家族や本人に骨折の経験がある
ひとつでも当てはまるなら、骨密度検査を受けてみましょう。
骨密度検査について
骨密度検査について、どこで受けられるのか、いくらぐらいかかるのか、簡単に記しておきます。検査の受け忘れがないよう、誕生月や決まった時期に受けるようにしておくと良いと思います。内容については、お住まいの自治体や近所の病院などでおたずねください。
●どこで受けられる?
病院(整形外科・内科)、自治体の検診センターや一部の健診オプションでも受けられます。ドラッグストアなどで簡易的に検査を実施しているところもあります。
●費用の目安
自費では3000~6000円程度が一般的。自治体によっては補助や無料検診があることも。
●おすすめのタイミング
「誕生月に受ける」と決めておくと、毎年忘れずにチェックできます。デキサ法(DEXA)という測定法が最も精度が高いとされています。
今日からできる!骨を守る生活習慣
骨を強化するには、日々の生活習慣が大事です。

- カルシウムをしっかりとる→乳製品・大豆製品・小魚などを毎日の食事に
- ビタミンDを意識する→1日15分ほど日光に当たることで体内でビタミンDが作られる
- 骨に刺激を与える運動を→ウォーキングや軽いジャンプは、骨に適度な刺激を与え、骨密度の維持に◎
- 筋肉を落とさない→筋肉は骨を支えるパートナー。筋トレやタンパク質摂取で筋力もキープ
- 年1回の骨密度チェックを習慣に
治療が必要なときは、迷わず医療の力を
骨密度がすでに低い方、骨折歴がある方は、早めの治療開始がカギとなります。薬物療法も進歩しており、骨密度の改善も可能です。
「症状がないから大丈夫」と放置せず、医師と相談しながら進めましょう。
まとめ:骨の健康は「自分で守れる未来」のカギ
見えないから、痛くないから、つい後回しにしてしまいがちな骨のケア。でも、元気に歩いて、自分らしく生きる未来のためには、今の自分を知っておくことがとても大切です。
「骨粗しょう症になってから」ではなく、なる前の今だからこそ、予防のチャンスです。まずは一度、骨密度を測ってみませんか? さあ、早速、骨を守る生活を始めましょう。
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