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【連載最終回】自分を守るエステティック・リテラシー、誇大広告に惑わされないために/後悔しないサロンの選び方

【連載最終回】自分を守るエステティック・リテラシー、誇大広告に惑わされないために

エステティックサロンは、本来、自分をいたわり、整えるための場所です。

肌をきれいにしたい。
体をすっきりさせたい。
忙しい毎日の中で、自分を大切にする時間を持ちたい。

その気持ちは、とても自然なものです。

ただ、SNSや広告には、

「たった1回で劇的変化」
「誰でも必ず結果が出る」
「医療いらずの最新機器」

といった、心が動く言葉も並んでいます。

大切なのは、そうした言葉をすべて疑うことではありません。広告の印象だけで決めず、「なぜそう言えるのか」「自分に本当に必要なのか」を確認することです。

このように、美容に関する情報を読み取り、自分に合ったサービスを選ぶ力を「エステティック・リテラシー」といいます。

この連載では、エステティックサロンの基本倒産トラブルを避けるための確認ポイント第三者認証制度についてお伝えしてきました。

最終回では、誇大な広告表現に惑わされないための視点と、これからのサロン選びで判断材料となるエステティックJISについてまとめます。

エステティック・リテラシーとは、自分を守る力

リテラシーとは、情報を正しく読み取り、判断し、活用する力のことです。

エステティック・リテラシーと言うと難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、「自分に本当に合ったサービスを選ぶ力」です。

価格が安いから。
口コミが多いから。
写真がきれいだから。
スタッフの説明が感じよかったから。

もちろん、それらもサロン選びの参考になります。

ただ、それだけで高額なコースや長期契約を決めてしまうと、あとから「もっと確認しておけばよかった」と感じることがあります。大切なのは、雰囲気に流されず、契約前に立ち止まることです。

「その効果には根拠があるのか」
「自分にも当てはまる内容なのか」
「契約内容を十分に理解できているのか」
「不安な点を質問できるサロンなのか」

こうした視点を持つことが、自分の時間とお金を守る第一歩になります。

エステティックサロンを選ぶとき、SNSや広告を見る機会は多いと思います。そのときに、次の3つを確認してみてください。

広告を見るときの3つの視点

1. ビフォーアフター写真をそのまま信じない

ビフォーアフター写真は、サロン選びの参考になります。ただし、写真は撮り方によって印象が大きく変わります。

たとえば、

・照明が違う
・姿勢が違う
・撮影角度が違う
・撮影する距離が違う
・画像加工をしている
・複数回の結果を「1回」と見せている

といったケースもあります。もちろん、すべての写真が問題というわけではありません。

ただ、本当に誠実なサロンは、

「個人差があります」
「生活習慣によって変化は異なります」
「施術だけでできることには限りがあります」

といった説明もきちんと添えています。夢を見せるだけではなく、現実も伝えてくれるか。そこを見ることが大切です。

2. 「すごい効果」には根拠があるかを見る

「1回でウエスト−3cm」
「数日で劇的変化」
「誰でも必ず結果が出る」

こうした言葉を見ると、つい期待したくなります。でも、効果を強く打ち出すなら、本来はその根拠が必要です。

たとえば「1回でウエスト−3cm」と表示するのであれば、

・何人に行った結果なのか
・どのように測定したのか
・いつ測ったのか
・同じ条件で確認したのか

といった説明が必要になります。

信頼できるサロンほど、「絶対」「必ず」と言い切るよりも、

・どんな人に向いているのか
・どんな変化を目指すものなのか
・どのくらい個人差があるのか
・生活習慣によって結果が変わること

を丁寧に伝えてくれます。強い言葉より、誠実な説明。ここが見極めのポイントです。

3. 医療のように聞こえる言葉に注意する

エステティックサロンは、医療機関ではありません。そのため、本来は「治る」「必ず痩せる」といった医療的な効果を断定することはできません。

たとえば、

・脂肪燃焼
・セルライト除去
・毒素排出、デトックス
・シミ、シワを解消
・細胞を活性化

といった言葉が、根拠なく断定的に使われている場合は注意が必要です。

もちろん、サロンによっては「リラックス感」「スッキリ感」「肌を整えるサポート」といった美容目的として表現している場合もあります。大切なのは、言い切り方が過剰になっていないかを見ることです。

「絶対」
「確実」
「必ず変わる」

このような言葉ばかりが並んでいる場合は、魅力的な表現に流されず、説明の中身を確認しましょう。

広告表示は、SNSやチラシだけではありません

広告表示というと、SNS広告やチラシ、ホームページ、予約サイトなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実際には、来店時に口頭で説明された内容も、契約を判断する材料になります。

「スタッフさんが大丈夫と言ったから」
「カウンセリングで効果があると言われたから」
「今日契約した方が得だとすすめられたから」

そうした言葉も、あとから大切な確認ポイントになることがあります。気になることは、その場で流さず質問しましょう。必要であれば、説明資料や契約書を持ち帰り、落ち着いて読み返すことも大切です。

これからは「JIS認証」も判断材料に

広告や口コミだけでは、本当に安心できるサロンかどうか判断が難しいことがあります。そこで今後、ひとつの判断材料として期待されているのが、「エステティックJIS(日本産業規格)」です。

JISとは、製品やサービスについて国が定める標準的な基準のことです。工業製品や食品などでは広く使われており、「一定の基準を満たしているか」を確認する目安になっています。エステティック分野でも、2026年度中の制定が予定されています。

これにより、

・サロンの運営体制
・安全管理
・消費者への説明体制
・契約時の情報提供
・スタッフ教育や管理体制

などについて、一定の基準が示されることになります。つまり、消費者にとっては、価格や雰囲気、口コミだけでは見えにくかった部分を確認するための、客観的な目安が増えるということです。

もちろん、JISだけですべてが分かるわけではありません。

ただ、第3回でご紹介した「エステティックサロン認証」「エステティシャン試験制度認証」とあわせて確認することで、より多角的にサロンを見極められるようになります。

今後サロンを選ぶ際には、

「第三者認証を受けていますか」
「JISへの対応は進んでいますか」
「スタッフの資格や研修制度はどうなっていますか」

と聞いてみるのも一つの方法です。その質問に対して、わかりやすく誠実に答えてくれるかどうか。それも、サロン選びの大切な判断材料になります。

契約前に確認したいチェックリスト

エステティックサロンで後悔しないために、契約前には次の項目を確認しましょう。

□ 契約期間を確認した
□ 支払総額を確認した
□ 途中解約できるか確認した
□ 解約時にかかる費用を確認した
□ 前払い金の扱いを確認した
□ クーリングオフの対象になるか確認した
□ サロンが閉店した場合の対応を確認した
□ 第三者認証の有無を確認した
□ スタッフの資格や研修体制を確認した
□ 広告の効果表現について根拠を確認した
□ ビフォーアフター写真の条件を確認した
□ 医療的な効果を断定していないか確認した
□ 急かされても「一度持ち帰ります」と言える
□ 困ったときは消費生活センター「188」に相談できる

高額なコースや長期契約をすすめられたときほど、その場で決めないことが大切です。

「今日だけの価格です」
「今決めないともったいないです」
「皆さんこの場で申し込まれます」

このように急かされたときは、いったん持ち帰りましょう。本当に必要な契約なら、一晩置いても必要だと思えるはずです。逆に、一晩置いたら気持ちが冷める契約なら、その場の空気に押されていた可能性があります。

最後に伝えたいこと

エステティックサロンは、自分を磨く場所である前に、自分を大切にする場所です。

だからこそ、

広告の言葉だけで決めない。
その場の勢いで契約しない。
わからないことは、遠慮なく質問する。

そしてこれからは、エステティックJISや第三者認証といった客観的な基準も、サロン選びの判断材料にしていくことが大切です。

知っているだけで、選び方は変わります。
質問できるだけで、契約の納得感は変わります。
一度持ち帰るだけで、防げる後悔があります。

エステを疑うためではなく、安心して楽しむために知識を持つ。

この連載が、心から「行ってよかった」と思えるサロンに出会うための一歩になれば幸いです。な施術が行われているかどうかを見極めるための参考になります。サロン選びの際には、こうした第三者の基準も一つの判断材料として活用してみてください。

草野由美子

ゆうプランド株式会社代表取締役
JESMA日本エステティックサロン経営学院学院長

   

草野由美子(くさの・ゆみこ)

エステティックサロン経営、専門学校講師を経て、現在は医療・美容系サロン経営コンサルタントとして活動中。
日本エステティック機構のサロン認証アドバイザーとして、日本産業規格(エステティックJIS)の原案作成にも携わり、エステティック業界の品質管理と標準化を牽引する。
健康経営エキスパートアドバイザーや女性活躍推進コンサルタント、自治体ビジネスコンサルタントの顔も持ち、エステティックを「美容」の枠に留めず、企業の生産性向上や地域社会の課題解決に繋げる「人的資本経営のインフラ」として普及させるべく、官民両域で尽力している。

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