食事

更年期の花粉症がつらくなったと感じたら、見直したい「腸内環境」のこと

飛散している花粉の種類が変わり、スギ花粉からヒノキ花粉の飛散量が増えてきています。みなさん体調はいいがでしょうか。

前回の記事「更年期女性はアレルギー性鼻炎の症状が変化する?!~モヤモヤの原因とより軽やかになるポイントとは~」では、更年期女性は「ここ数年、花粉症が重くなった気がする」、「今までの対策だけでは追いつかない」そんな変化を感じやすくなる時期でもあると紹介しました。

更年期は、体の内側が大きく変わるタイミングです。ホルモンバランスの変化は、気分や体調だけでなく、花粉症の症状にも影響を与えます。腸内環境の影響が花粉症症状と関わりがあるといわれていますので、今回は腸内環境の対策に絞ってより軽やかな身体作りのポイントを紹介します。

花粉症と腸の深い関係

花粉症は、免疫のバランスが乱れることで起こるアレルギー反応です。そして免疫細胞の約70%が集まっているのが腸。腸内環境が乱れると、免疫が過剰に働き、花粉に対して敏感に反応しやすくなります。
反対に、腸内環境が整っていると免疫のバランスも安定し、症状の軽減が期待できます。

つまり、花粉症対策はマスクや花粉用メガネなどの「外から防ぐ」だけでなく、「内側から整える」ことが大切です。

更年期に便秘が増える理由

更年期に入ると、女性ホルモン「エストロゲン」が減少します。このホルモンは腸の動きをサポートする働きがあるため、分泌が減ると腸のぜん動運動を調整するトリプトファン代謝が低下し、便秘になりやすくなります。

さらに、加齢による筋力低下や運動不足、水分摂取の減少、自律神経の乱れも影響し、腸の動きはより鈍くなります。便秘が続くと腸内に老廃物が溜まり、悪玉菌が増えやすい環境に。これが腸内フローラのバランスを崩し、免疫にも影響を与えてしまいます。

カギになるのは「食物繊維」1日18g

腸内環境を整えるために欠かせないことの1つに食事があります。その中でも食物繊維の積極的な摂取が大切です。食物繊維が腸内の善玉菌によって分解されると「短鎖脂肪酸」という物質が作られ、これが免疫の過剰な攻撃を抑える「ブレーキ役」として働いてくれるからです。

令和6年の国民健康・栄養調査の結果は下記の通りです。女性の目標は1日18g以上ですが、多くの方が不足しているのが現状です。

また、食物繊維が多く含まれる野菜摂取量についても国民健康・栄養調査の結果では、目標量を大幅に下回っていました。1日の摂取目標量350gに対し、野菜摂取量の平均値は258.7gでした。

花粉症対策に野菜を多くとるメリットは、食物繊維に加え、ビタミンやポリフェノールの働きにもあります。

ビタミンCやβカロテンは、鼻や喉の粘膜を守り、花粉の刺激から体を守るサポートに。ビタミンEは抗酸化作用で炎症をやわらげます。

さらに、ポリフェノールはアレルギー反応の過剰な働きを抑えることが期待され、つらい症状の緩和にもつながります。

野菜は「腸内環境」「粘膜ケア」「抗酸化」の3つの面から、花粉症対策をそっと支えてくれる存在です。

大切なのは「頑張って増やす」よりも、「無理なく続ける小さな工夫」です。

食物繊維を効率良く、かつ賢く摂るためのポイントは2つです。

1. 「水溶性」と「不溶性」のダブル使い

食物繊維には2種類あります。

  • 不溶性(便のカサを増やす): 玄米、ごぼう、きのこ類
  • 水溶性(善玉菌の餌になり、血糖値を抑える): 海藻、納豆、オクラ、もち麦
  • アレルギー対策や更年期太りの予防には、特に「水溶性」を意識して摂ることが重要です。理想のバランスは「不溶性2:水溶性1」と言われています。

2「発酵食品」とのコンビネーション(シンバイオティクス)

食物繊維(善玉菌の餌)と、納豆やヨーグルトなどの発酵食品(善玉菌を含む食材)を一緒に摂ることを「シンバイオティクス」と呼びます。例えば「めかぶ納豆」や「バナナ入りヨーグルト」は、腸内環境を整える最強のペア。単体で摂るよりも、免疫へのアプローチがぐんと高まります。

毎日の食事でできる“ちょい足し習慣”

・白米のみから雑穀米、食物繊維の多い食材たっぷりの炊き込みご飯(ひじき、きのこ等)を取り入れる
・味噌汁、スープにわかめやきのこ、ごぼう等を加える
・朝食にヨーグルトや果物、納豆、海苔などをプラスする
・間食にナッツやドライフルーツ、干し芋、あずきなどを取り入れる

このように「いつもの食事に足す」だけで、自然と食物繊維の量は増えていきます。

また、一度にまとめて摂るのではなく、朝・昼・夜に分けてこまめに摂ることもポイントです。腸への負担を減らし、より効率よく働いてくれます。

意外と大切な「水分」の存在

食物繊維は水分と一緒に働くことで、便をやわらかくし、排出をスムーズにします。水分が不足すると、せっかく食物繊維を増やしても便秘を助長させやすくすることもあります。喉が渇く前に、こまめな水分補給を心がけましょう。

まずは朝起きてコップ1杯の水を飲むことから始めてみてください。それだけでも腸へのやさしい刺激になります。

これからの自分のために

更年期の不調は、体が「少し休みなさい」「自分をケアして」と送ってくれているサインです。そして、体を見直すきっかけにもなります。

腸内環境を整えることは、花粉症対策だけでなく、体全体のバランスを支える土台づくりにもなります。アレルギーに負けない体作りは、ストイックな制限のみではなく、毎日の食事に「食物繊維をひとつまみ」、「隙間時間の運動」、「喉が渇く前の水分補給」と小さな工夫をプラスすることから始まります。

外からの対策に加えて、内側から整える意識を少しずつ取り入れてみてください。

コツコツ小さな工夫を継続されることで、きっと今よりも軽やかに春を過ごせるようになることと思います。

参考文献

1  厚生労働省.(2024). 令和6年国民健康・栄養調査結果

2 Aleksandra Blonska, et al: Tryptophan Metabolism in Postmenopausal Women with Functional Constipation. Int J Mol Sci. 25(1):273,2023

3 Arezoo Faridzadeh, et al: The role of synbiotics as adjunctive agents in the treatment of allergic rhinitis: A randomized controlled trial. Health Sci Rep. 6(10):e1571,2023

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乳井美和子

乳井美和子

アレルギーと環境起因疾患から身を守るサポーター

管理栄養士。長年食物アレルギーなどのアレルギー疾患患者の食事や生活指導を行っている。食事や環境を整え、より豊かな暮らしに導くヒントを広める活動を展開中。

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