食事

40代からの体づくりは「食べる時間」がカギ?朝食・夕食の習慣を時間栄養学で見直そう

「朝は忙しくて、朝食をゆっくり食べる時間がない」
「以前と同じように食べているのに、体重が増えやすくなった気がする……」
このような悩みはありませんか?
40〜50代は、更年期に伴う体調の変化に加え、筋肉量や体脂肪の変化も気になりやすい時期です。健康のために食事内容を意識していても、見落としがちなのが「食べる時間」。

今回は、体内時計と栄養の関係を探求する「時間栄養学」から、健康な体づくりのヒントを紹介します。

■ 時間栄養学とは?

前回のコラム「9月の「なんとなく不調」はなぜ?気圧・秋花粉にゆらぐ体を整える朝と夜の習慣」(https://mymitasu.com/adult-disease/nyui_miwako20260921)でも触れた時間栄養学とは、栄養素の種類や摂取量だけでなく、食事をする時間が体に与える影響について考える学問です。
私たちの体には体内時計があり、睡眠や体温、ホルモン分泌、エネルギー代謝などのリズムを調節しています。この体内時計のリズムを整える大きな影響を与えるのが、「朝の光」と「食事のタイミング(特に朝食)」です。
つまり、健康的なからだづくりでは「何を、どのくらい食べるか」に加え、「いつ食べるか」という視点も大切なのです。

■ こんな食べ方は要注意!太りやすい食習慣

日常のなにげない習慣が太りやすい体を作っているかもしれません。まずはご自身の食生活を振り返ってみませんか。


① 朝食を抜き、夜にまとめて食べる
朝食を抜いたり、昼食を軽く済ませたりすると、夕方以降に空腹が強くなり、夕食や夜食の量が増えることがあります。夜間は日中に比べて食後血糖値が上がりやすいことも報告されています。食事が夜に偏る習慣は、体重や血糖の管理という面から見直したいポイントの1つです。


② 夕食後に甘いものやお酒を楽しむ
夕食後に菓子類やアルコールを追加すると、気づかないうちに摂取エネルギーが増えることがあります。疲れやストレスを紛らわせるための夜食が習慣になっていないか、振り返ってみましょう。
ただし、食べる時間だけで太る、痩せるが決まるわけではありません。食事の総量や内容、睡眠、活動量なども関係していきますので、食べる時間以外の部分も再確認しておきましょう。

■ 更年期世代こそ意識したい「たんぱく質を摂る時間」

年齢を重ねると、筋肉量が減少しやすくなり、基礎代謝量も低下する傾向があります。更年期以降の体重管理では、食事を減らすことだけでなく、筋肉を維持することも重要です。


そこで意識したいのが、筋肉の材料となる「たんぱく質」です。
時間栄養学の研究では、朝食のたんぱく質摂取が少なく、夕食に偏っている食習慣よりも、朝食を含めてたんぱく質を3食バランスよく摂ることが、筋肉の維持に役立つ可能性が示されています。動物実験やヒトを対象とした研究でも、朝のたんぱく質摂取と筋肉量との関連があることが示唆されています。
朝食をパンやコーヒーだけで済ませている方は、卵料理、牛乳、豆料理、ヨーグルト、納豆、焼き魚などを一品加えてみましょう。

さらに、筋肉の維持には、朝食だけでなく、1日を通じて十分なたんぱく質を摂ることや、適度な筋力トレーニングも大切です。筋肉量の減少は、将来のフレイルや身体機能の低下にも関係するため、更年期の時期から偏り過ぎない食生活や適度な筋トレも意識したい習慣です。

■ 朝食は心の健康とも関係する?

朝食の欠食日数が多い人ほど、うつ症状を示す割合が高いという研究結果も報告されています。ただし、これは関連を示すもので、朝食を抜くことが直接の原因とは限りません。

仕事や家事で忙しい毎日だからこそ、自分の体をいたわる時間も大切にしたいものです。ご機嫌な心地よい毎日を過ごすためにも、朝食を摂る習慣を意識してみましょう。

■ 忙しい女性も習慣にしたい!今日から始める3つの工夫

① 朝食は「手軽にたんぱく質」をプラス
おにぎりとゆで卵、パンと牛乳、バナナとヨーグルトなど、簡単な組み合わせで十分です。まずは朝食を摂る習慣をつくり、たんぱく質を含む食品を取り入れましょう。
② 昼食を軽く済ませすぎない
パンや麺類だけで済ませがちな方は、魚、肉、卵、大豆製品などの主菜や野菜をプラス。昼間の栄養不足を防ぎ、夕食への偏りを減らす工夫をしましょう。
③ 夕食が遅くなる日は「つなぎの分食」を活用
帰宅が遅い日は、夕方におにぎり、パン、干し芋、などの軽食を食べ、帰宅後は肉や魚、大豆などの主菜、野菜を中心に食事を調整する方法も1つです。なるべく消化の良いおかずを心がけ、夜遅い時間に一度にたくさん食べることは避けましょう。
ただし、夕方に食べた量や空腹の程度によっては、時間のバランスをみながら帰宅後にも適量の主食をとりましょう。夜遅いからと食事を極端に減らすのではなく、翌日の朝食も含めて、無理のないバランスが大切です。

また、夜勤勤務の方は、勤務時間に合わせた食事の工夫も大切です。夜遅い食事は、おかゆやスープなど消化のよいものを選び、脂っこい料理や食べ過ぎを避けておきましょう。夜勤明けには、体調をみながら軽食をとって調整してみてください。みなさんそれぞれの生活に合った食事リズムを考えてみましょう。

■ 食べる時間を味方につけて、無理なく健康づくり

更年期以降の体重管理は、食事を減らすだけではなく、筋肉を維持しながら生活リズムを整えることが大切です。
まずは朝食にたんぱく質を一品プラスすることから始めてみませんか?
「何を食べるか」に加えて「いつ食べるか」。
ご自身のライフスタイルに合った小さな工夫を積み重ねて、5年後、10年後も心地よく動ける体を作っていきましょう。

参考文献
・佐々木 裕之,柴田 重信:時間栄養学的視点で健康な食生活リズム.生化学 93(1): 82-92,2021
・Mamerow Madonna M., et al: Dietary Protein Distribution Positively Influences 24-h Muscle Protein Synthesis in Healthy Adults. The Journal of Nutrition.144(6):876-880,2014
・Ye Seol Lee, et al: Household food insecurity and breakfast skipping: Their association with depressive symptoms. Psychiatry Research.271:83-88,2019

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乳井美和子

乳井美和子

アレルギーと環境起因疾患から身を守るサポーター

管理栄養士。長年食物アレルギーなどのアレルギー疾患患者の食事や生活指導を行っている。食事や環境を整え、より豊かな暮らしに導くヒントを広める活動を展開中。

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