食事

「グルテンフリー」の表記で注意すべきことは、小麦アレルギーとは別物

近年はひと昔前よりも米粉商品が入手しやすくなり、スーパーや飲食店では「グルテンフリー対応」という表示を見かけるようになりました。一方で、健康志向の高い方向けへのマーケティング強化なども追い風となり、一部で「グルテンフリー」という言葉だけが独り歩きしていることも否めません。

グルテンフリー食品≠小麦アレルギーなのはなぜ

「グルテンフリー」という表示だけを頼りにはできない、と小麦アレルギー患者さんでは困惑している方もおられます。

なぜでしょう?

「グルテンフリー食品=小麦アレルギー対応食品」ではないからです。

グルテンは、小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質です。小麦には、タンパク質が複数あり、グルテンはその中の1つです。

小麦アレルギー患者は、複数のタンパク質にアレルギー反応が出るケースもあれば、いくつかのタンパク質にアレルギー反応が出ることもあります。グルテンのみの除去では、小麦アレルギーにも対応している食品とはいえません。

「グルテンフリー」は、小麦タンパク質の中のグルテンを除去していることを示していることを頭の片隅に入れ、詳しい原材料はメーカーや飲食店スタッフに必ず確認をしてください。

ノングルテンとグルテンフリーの表示について

「ノングルテン」とは、1g中につき1㎍(マイクログラム=100万分の1グラム)以下の製品に表示が認められている日本独自の制度ですが、「グルテンフリー」については日本では基準を設けていません。

欧米では、1kg中につき20ppm(パーツ・パー・ミリオン=100万分のいくらかの割合)以下の製品に対し、グルテンフリーの表示が認められています。小麦含有量が0.002%以下の割合であれば、欧米ではグルテンフリー表示が認められるという意味です。極微量ですので、小麦アレルギーの方でも摂取できる方もいます。小麦アレルギーの方が全員使用できないという意味ではありません。

つまり、重度の小麦アレルギーの方にとっては、輸入品のグルテンフリー食品を購入する際や欧州訪問時には十分注意する必要があるということです。

セリアック病においては、グルテン除去の確認を

小麦アレルギーとは異なり、セリアック病はグルテンを除去する必要がある疾患です。セリアック病は自己免疫疾患の1つで、小麦や大麦などに含まれるグルテンによって十二指腸や空腸に慢性的な炎症が起こり、腹痛や下痢などさまざまな症状が出現する疾患です。

商品名やPOPなどに米粉パンと大きく書かれていても、弾力性やふんわりした食感を出すために「小麦グルテン使用」と原材料表示に入っていることもありますので、セリアック病と診断された方や小麦アレルギーの方にお菓子やパンを差し上げる際は原材料の確認は慎重に行いましょう。

製造環境にも注意

また、米粉を使用した食品の製造場所においても注意する必要があります。

米粉製品を製造している同じ工場内で小麦を扱っている場合は、小麦粉の粒子が舞っている可能性があり、「小麦不使用」という記載であっても微量の小麦が混入されることも考えられます。小麦アレルギーの患者さんの中には、小麦不使用の食品であっても、小麦を使用している工場で同じ部屋で製造された食品の摂取を控えている方もいます。

除去する範囲や注意しなければならない内容は人それぞれ異なります。小麦を除去されている方に米粉製品を購入する際やお料理を提供されるには、どこまで注意したら良いか事前に確認されることをお勧めします。

アレルギーやセリアック病ではなくても「グルテンフリーライフ」を食生活に取り入れる時代になりました。販売する側はターゲットがお店によって異なり、購入する際に注意する内容が一人一人異なります。購入される際には召し上がる方の体質に合わせて十分に確認してから購入するようにしましょう。

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乳井美和子

乳井美和子

アレルギーと環境起因疾患から身を守るサポーター

管理栄養士。長年食物アレルギーなどのアレルギー疾患患者の食事や生活指導を行っている。食事や環境を整え、より豊かな暮らしに導くヒントを広める活動を展開中。

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