人生100年時代

有酸素運動とレジスタンス運動、自分の体力にあったトレーニングを/体力の正体は筋肉(14)

<体力の正体は筋肉/第5章:下半身と体幹の筋肉をきたえなさい(2)>
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有酸素運動とレジスタンス運動

あなたの筋力と全身持久力をふまえて、それではここから、トレーニングの実践に入りましょう。

トレーニングには、大きく分けて有酸素運動レジスタンス運動の2種類があります。

体脂肪を減らすのに有効な有酸素運動

有酸素運動と呼ばれるのは、呼吸をきちんとしながら、筋肉に継続的に取り込んだ酸素によって、筋肉内のグリコーゲン(糖質)や脂肪を分解して筋肉のエネルギーを生み出すからです。

また、有酸素運動では、内臓脂肪や皮下脂肪として貯えられている中性脂肪(グリセロールというキーホルダーに、脂肪酸というキーが3つつながっている物質)が分解されて血液中に遊離してきた脂肪酸を筋肉が取り込んでエネルギー源として利用します。この作用は、体脂肪を減らすのにとても大切なのです。

ウォーキング、ジョギング、スイミング、サイクリング、エアロビックダンスなどがあり、長時間持続できて、呼吸循環能力もアップして全身持久力を高めてくれます。しかし、筋力を高める効果はそれほど期待できません。

骨格筋の機能を高めるレジスタンス運動

いっぽうのレジスタンス運動は、全身あるいは局所の筋群に強い負荷(レジスタンス)をかけて骨格筋の機能を高めようというものです。

酸素を利用してエネルギーを生み出す割合は、負荷の強度によって異なります。負荷がとても強いと無酸素運動になりますが、負荷が比較的軽いと長時間の持続が可能となり、有酸素運動の役割を果たすことにもなります。無酸素運動とレジスタンス運動が必ずしもイコールではないことは知っておいたほうがいいでしょう。

つまり、レジスタンス運動は筋力トレーニング(以下、筋トレ)のことであり、生み出される筋肉のパワーは大きいのですが、短時間しか持続できません。そのかわり、有酸素運動に比べて筋力を高める効果があります。

どれか1つでOK、自分の体力に合った方法を

本書では、全身持久力を高めてくれる有酸素運動にしても筋力を高めてくれるレジスタンス運動にしても、体に大きな負担をかけることなくすぐにできて、下半身や体幹の筋肉をきたえられるものばかりを紹介しています。

ただし、「あれもこれも、紹介されているすべてのトレーニングをやらなければいけないなんて、とても面倒だ!」と思われたとしたら、それは大きな誤解です。

これらのなかから、自分の体力に合ったもの、毎日必ずできるものを1つでもかまいませんから選んで、それをできるだけ長く続けていただきたいのです。

たくさんご紹介したのは、もしはじめてみて、これは自分に合わないと感じたら、別の方法を選べるように、選択肢を広げたからです。

ただし、いずれもトレーナーの指導なしでできるものですから、自己流になりがちです。誤った方法でされると効果が出ないばかりか、かえって体を痛めてしまう可能性もあります。正しい方法でできているのかをきちんと確認しましょう。

また、トレーニング中にどこかに痛みが出るようなことがあったらすぐに中止してください。無理は絶対にいけません。

(つづく)

体力の正体は筋肉

樋口満 早稲田大学スポーツ科学学術院名誉教授

体力の正体は筋肉

シニアにとって、体幹と下半身の筋力トレーニングは自立した健康的な生活に不可欠。そのため、自宅で誰でもできる最強のトレーニング方法を紹介します。さらに、筋肉を強くする仕組みや、筋力をつけることがなぜ重要なのか、筋肉に最適な食事についても啓発していきます。

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樋口満

早稲田大学スポーツ科学学術院名誉教授

身体活動・座位行動科学研究所顧問。教育学博士。名古屋大学理学部化学科卒業。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。専攻は健康スポーツ科学、スポーツ栄養学。ハンガリー体育大学名誉博士。日本スポーツ栄養学会・日本体育学会名誉会員。第20回秩父宮記念スポーツ医・科学賞。

  1. 有酸素運動とレジスタンス運動、自分の体力にあったトレーニングを/体力の正体は筋肉(14)

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