【連載2】プロが教える「後悔しない脱毛・エステティックサロンの選び方」/前編
「突然『閉店します』とメールが届いた。まだ20回以上残っているのに…」
「返金を求めて電話をしても、サロンにはすでに連絡がとれなくなっていた」
脱毛サロンやエステティックサロンの倒産による被害は、ここ数年で確実に増えています。
「有名チェーンだから大丈夫だと思っていた」
「スタッフも親切で、まさかこんなことになるなんて思わなかった」
被害にあった多くの人がこう話しますが、実は、契約前にほんの少し確認するだけで、こうした被害を大きく減らすことができるのです。
今回は、サロン業界の仕組みを知る立場から、消費者の皆さんに知っておいてほしい「3つのポイント」を、前編・後編に分けてお伝えします。
なぜ「繁盛しているサロン」が突然倒産するのか?
過去10年で起きた脱毛サロンの主な倒産例を表にまとめました。

脱毛サロンの倒産件数自体も急激に増えています。

「あんなにお客さんがいたのに、なぜ倒産するの?」と疑問に感じる人もいるでしょう。それは、脱毛サロンやエステティックサロンのビジネス構造の問題です。
多くのサロンでは、数十回分の施術をまとめて購入する「コース契約(前払い)」が行われています。
すると、新しいお客様が契約するたびに、サロンにはまとまったお金(前受金)が入ってきます。そのため、たとえ経営状態が悪化していても、手元に資金があることで、外からは順調に運営されているように見えてしまうのです。
前受金が運営資金として使われた末路
この前受金は、まだ提供していない施術のためにお客様から預かっている“預かり金”で、本来は将来の施術のために管理されるべきお金です。しかし、実際には広告費や新規店舗の出店費用など、日々の運営資金として使われてしまうケースがあります。
その結果、サロンの運営を維持するために、さらに新しい契約を取り続けなければならない状態になり、すでに契約しているお客様の予約が取りにくくなるなど、サービス提供に支障が出始めます。そして最終的には、スタッフにも知らされないまま、突然閉店に至るということが起きるのです。

直前まで通常営業していたケースが多い
大手・有名サロンであっても、倒産は決して珍しいものではありません。しかも、注目したいのは、「直前まで通常営業していたケースが多い」という点です。
だからこそ、「人気があるかどうか」ではなく、 「契約の仕組みや安全性を確認する視点」 が重要になります。
知っておきたい言葉「前受金保全措置」
サロンに行ったとき、こう聞いてみてください。
「もし閉店した場合、コース契約で前払いしたお金は戻ってきますか?」
契約書の「前受金保全措置(まえうけきんほぜんそち)」の項目を確認し、「前払い金は守られますか?」と聞いてみてください。
前受金保全措置とは、コースを完了していない時点でサロンが閉店した場合でも、お客様からの預り金を返金できるように、保険会社や信託機関などが管理する仕組みです。
旅行業やブライダル業では法律で義務付けられていますが、エステティック(脱毛含む)業では現在も法的な義務ではなく、自主的に行っているかどうかがサロンによって異なります。つまり、守られている場合もあれば、守られていない場合もあるというのが現状です。
「聞いてもよくわからない」リアルな落とし穴
しかし、「前払い金は守られますか?」と聞いてみても、こんなことが起きがちです。
- 契約書を淡々と説明されて、「こちらをご確認の上、サインをお願いします」と言われる。
- 契約書をゆっくり読む時間もないし、専門用語が並んでいて、どういう意味なのかよくわからない。
- 担当エステティシャンに質問しても、笑顔で「大丈夫ですよ」と言うだけで、具体的には答えてくれない。
こういった状況に置かれると、「面倒だし、もういいか」と、あきらめてしまいがちです。ただ、ここで「ちゃんと答えてもらえなかった」こと自体が、大切な情報になります。
誠実なサロンであれば、「○○信託(または保険)で保全しています。万が一の場合も、□□という手続きで返金されます」と、具体的に答えてくれます。「心配しなくて大丈夫ですよ」「うちはしっかりしてるので」とはぐらかすだけの場合は、要注意のサインです。
知っておきたい法律「特定商取引法 第45条」
エステティックや脱毛の前払い契約(1カ月を超え、かつ総額5万円を超える契約)では、事業者は決算書や確定申告書等の財務書類をサロンに備え付け、求めに応じて閲覧できるようにする法的義務があります。ただし、この閲覧は実務上、すでに契約している消費者が対象とされており、契約前に自由に閲覧できる制度ではありません。
それでも、「こうした確認の仕組みが法律上用意されている」と知っておくだけで、いざというときの対応が変わります。もし不安を感じた場合は、コース契約ではなく「都度払い」を選ぶことで、リスクを大きく下げることができます。
サロンを選ぶ際の判断ポイント
<チェックポイント>
□ 前受金保全について具体的に説明できるか
□ 曖昧な説明で終わらせていないか
□ 「答えられないこと」自体をリスクと捉え、判断材料にする
□ 不安を感じたら「コース契約」ではなく「都度払い」を検討する
後編では、本当に信頼できるサロンを見分けるための知る人ぞ知る確認法と、「本日限り」と言われたときの判断基準をお伝えします。