【連載3】プロが教える「後悔しない脱毛・エステティックサロンの選び方」/後編
前編「倒産トラブルの被害を防ぐ!契約前に確認すべきポイント」では、繁盛しているサロンが突然倒産する理由と前受金保全についてお伝えしました。後編では、残り2つのポイントをお伝えします。
サロンの質を判断する「エステティックサロン認証」
サロン選びでは、口コミやSNSのフォロワー数ではなく、信頼性の高い判断基準を参考にすることが大切です。その1つが「エステティックサロン認証」制度です。
これは業界内部ではなく、第三者機関(特定非営利活動法人日本エステティック機構)が、サロンの衛生管理・技術水準・法令遵守などを審査し、一定の基準を満たしたサロンに認証を与える制度です。
第三者機関、つまり、利害関係のない外部の専門家によって客観的に運営体制を認められたサロンにのみ認証が与えられるものなので、信頼度が高いものといえるでしょう。
この仕組みを、下記の図で見てください。

もちろん、認証を受けているからといって絶対に安心なサロンというわけではありませんが、誰にもチェックされていない状態と比べると、判断材料としての信頼性は大きく変わります。
サロン選びに迷ったときは、こうした“外からの評価”があるかどうかを、一つの基準として持っておくと安心です。
エステティシャンの質を見極める「エステティシャン試験制度認証」
サロンの安全性を考えるうえで、もう一つ重要なのが「エステティシャンの質」です。
エステティシャンは国家資格ではないため、極端に言えば数日間の研修でも名乗ることができてしまうのが現状です。つまり、サロンによって知識や技術レベルに大きな差がある業種でもあります。
そこで確認したいのが、「エステティシャン試験制度認証」です。
これも第三者機関(特定非営利活動法人日本エステティック機構)が認証を付与している制度で、エステティシャンとして必要な知識・技術レベルを体系的に学べるカリキュラムと、それを客観的に評価する試験制度を持つ機関であることを示すものです。
そのスタッフが、どのような教育を受け、どのように評価されている人なのかが確認できるもので、この資格を持っているかどうかは「一定水準以上の教育と評価を受けているか」の目安になります。

カウンセリングの際、スタッフに「どちらの資格をお持ちですか?」と聞いてみましょう。その回答の内容や説明の仕方から、教育体制や専門性への取り組みが見えてきます。
もちろん、資格がすべてではありませんが、「どこで、どのように学び、どのように評価されているか」は、サロン選びにおいてとても重要な視点です。カウンセリングの場で、資格の内容をきちんと説明できるかどうかも含めて、そのサロンの教育体制や専門性を見極めるヒントにしてみてください。
業界全体の基準「エステティックJIS」の動き
さらに現在、経済産業省のもとで「エステティックJIS」という新しいサロン運営の基準づくりも進められており、2026年度中の公式発表が予定されています。これは、エステティックサロンの運営管理体制を業界全体で標準化し、透明性と安全性を高めていくための取り組みです。
カウンセリングの際に「エステティックJISができるみたいですね」とさりげなく話題に出してみることで、そのサロンが業界の基準や安全性に対してどれくらい意識を持っているかを知るヒントにもなります。
<チェックポイント>
□ エステティックサロン認証を取得しているか確認する
□ スタッフが試験制度認証に基づく資格を持っているか確認する
□ 運営管理体制について説明できるサロンかを見る
□ 業界基準(JISなど)への関心や理解があるかを確認する
「その場で決めない」ことで倒産リスクを減らす
倒産トラブルを回避するうえで最も実践的なポイントは「その場で決めない」ということです。サロンでの被害事例を見ていると、多くのケースに共通するのが、「その場で高額な前払い契約をしてしまった」ということがあげられます。
カウンセリングの場では、「今日中に申し込むと〇万円引き」「このキャンペーンは本日限りです」といった言葉が使われることがあります。その言葉につられて申し込む人が多いのですが、一旦立ち止まってください。
ここで重要なのは、「本日限り」という言葉の真偽ではなく、それを聞いた結果として、冷静な判断ができなくなるということです。
エステティックや脱毛のコース契約は、多くの場合、前払いです。この前払いこそが、倒産時のリスクにつながります。契約回数が多く、支払金額が高く、契約期間が長くなるほど、万が一の際に受けられなくなるサービスの割合も大きくなります。だからこそ大切なのは、「その場で決めないこと」なのです。
「本日限り」で冷静な判断を失わない
一晩、時間を置くだけで、本当に必要な契約なのか、支払う金額は適切なのか、回数や期間は自分に合っているのか、中途解約の条件はどうなっているのかといった点を冷静に見直すことができます。
また、その結果として、前払い金額を抑える(都度払い・回数を減らす)という判断にもつながります。
なお、「本日限り」の価格については、「体験当日の契約者限定価格」や「当日申込に対する特典」など、条件が明確で、実際にその通り運用されている場合は問題ありません。
しかし、なぜ今日だけなのかを説明できない場合や、後日でも同じ条件で契約できる場合、あるいは契約を急がせること自体が目的になっている場合には注意が必要です。「せかされて判断している状態」に陥ってはいけません。
良心的なサロンであれば、「一度持ち帰ってご検討ください」と言えるはずです。
<チェックポイント(倒産リスク視点)>
□ その場で契約を急がれていないか
□ 前払い金額が高額になっていないか
□ 契約内容を持ち帰って検討できるか
□ 都度払い・回数調整などの選択肢があるか
□ 自分が冷静に判断できている状態かを確認する
□ 契約書は必ず大切に保管しておく
8日間のクーリング・オフ制度
特定商取引法では、エステティック・脱毛のコース契約にはクーリングオフ制度(原則8日間)が設けられています。「一度サインしたら終わり」ではありません。契約書は必ず自分用のコピーを受け取り、大切に保管しておきましょう。
下の図の通り、一定期間内であれば、理由を問わず契約を解除することができますが、期限は8日間です。「すぐに行動できるかどうか」が大切です。そのためにも、契約書は必ず受け取り、内容を確認できる状態にしておきましょう。

もし被害にあってしまったら…
すでに突然の閉店に遭い、途方に暮れている方は、一人で抱え込まないでください。まずは、消費生活センター(局番なし 188)へ連絡してみてください。無料で相談でき、返金の可能性や手続きについてアドバイスをもらえます。破産管財人への債権申告など、あきらめる前にできることがある場合もあります。
今日から使える「3つの確認」まとめ
□ 「前払い金は守られますか?」と聞いてみる
□ 「第三者が認めたサロン」かどうかを調べる
□ 「今日じゃなくていい」と自分に言い聞かせる
美容・脱毛のサービスは、お金だけでなく、皆さんの大切な時間と身体に関わるものです。せっかく始めた美容ケアが、サロンの倒産で突然断ち切られてしまうことほど、つらいことはありません。
次のサロン選びの際には、今回紹介した3つのポイントを思い出してみてください。ちょっとした確認の積み重ねが、大きなトラブルを防ぎます。
次回のコラムでは、さらに一歩踏み込み、自分を大切にするためのエステティック・リテラシーの高め方をお伝えします。
【参考】エステティシャン試験制度認証取得団体・関連制度
消費者の皆さんが「一定基準の教育と試験を受けたエステティシャン」を見分けるための参考として、エステティシャンの資格に関する認証取得団体をご紹介します。あわせて、脱毛分野における専門的な教育制度についてもご紹介します。
■ エステティシャン資格(試験制度認証取得団体)
◆ 一般社団法人 日本エステティック協会(Ajesthe)
http://www.ajesthe.jp
◆ 一般社団法人 日本エステティック業協会(AEA)
http://www.esthesite.jp
◆ 特定非営利活動法人 日本スパ・ウエルネス協会
http://www.spa-wellness-japan.or.jp
◆ 一般財団法人 ICAM JAPAN(ICAM)
http://www.icamjapan.com
■脱毛分野の専門教育制度(参考)
◆ 一般社団法人 日本エステティック振興協議会(JEPA)
https://esthe-jepa.jp/certification-aesthetic/
JEPAでは、美容ライト脱毛の安全な施術を行うための知識・技術を学ぶ「認定美容ライト脱毛エステティシャン教育養成制度」が整備されています。この制度は、脱毛施術に特化した安全知識や機器の取り扱い、リスク管理などを体系的に学び、一定の基準で評価される教育制度です。脱毛サロンを選ぶ際には、こうした専門的な教育を受けたエステティシャンが在籍しているかどうかも、安全性を判断する一つの目安になります。
これらの団体や制度は、エステティシャンとして一定の知識・技術・倫理観を身につけているかどうか、また安全な施術が行われているかどうかを見極めるための参考になります。サロン選びの際には、こうした第三者の基準も一つの判断材料として活用してみてください。